キリスト教徒が額に灰の十字を描く「灰の水曜日」とは?
灰の水曜日となるのは、世界中のキリスト教徒の間でイエス・キリストが復活した日と信じられている復活祭の日から6週間半前の水曜日(日曜日は四旬節の40日間にカウントされない)。2023年の灰の水曜日は、2月22日だ。
しかし、東方教会と西方教会では、四旬節の始まりの日が異なる。西方教会では、灰の水曜日に四旬節が始まる。東方教会では、四旬節は復活祭の7週間前の月曜日に始まり、灰の水曜日は行われない。
四旬節の起源は西暦325年までさかのぼる。当時、四旬節は洗礼の準備期間として広く利用されていた。40日という期間は、キリストが洗礼を受けた後、公生活を始める前に荒野を旅したとき、40日にわたって断食したことにちなむ。キリスト教徒の間では、キリストはこの40日間、神から精神性と誘惑に耐える力を試されたと考えられている。
現在、キリスト教徒は四旬節にざんげと内省を行う。その初日である灰の水曜日には、死すべき運命と罪のざんげを意味する灰の十字を額に描く。朝のミサで聖職者によって描かれ、多くの場合、「あなたは土からつくられ、土に返ることを忘れてはいけない」という短い祈りがささげられる。多くの人は灰の十字を付けたまま一日を過ごす。
灰そのものは、キリストが十字架にかけられ復活する1週間前にエルサレムに入城したことを記念するパームサンデーに使用したヤシの葉を燃やしてつくったものだ。エルサレムの住民はヤシの葉を振って、キリストを歓迎したと信じられている。
灰の水曜日は、自己改善の時期と考えられている四旬節を方向付ける日だ。キリスト教徒はもともと、四旬節の期間中、一日一食しか許されておらず、肉や魚を食べることを禁じられていた。この伝統は第2次世界大戦のころ、カトリック教会によって緩和された。
四旬節の期間中、金曜日に厳格な断食を行う人もいるが、多くの人はアルコールやソーシャルメディアなどの嗜好(しこう)品を断つ。