「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展が豊田市美術館で10月21日開幕。東京・青森にも巡回予定
本展のポイントのひとつは、ライトのキャリアの中心軸に帝国ホテルを据え、その魅力に迫ることだ。
「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館」や「自由学園明日館」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家の顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家。
帝国ホテルが落成したのは、いまからちょうど100年前の1923年、関東大震災の発生当日にあたる。災禍を生き延びたことで、ライトに大きな名声をもたらしたこの帝国ホテルは、広大な敷地に客室のほか劇場や舞踏会室など様々な施設を備えた、それ自体が都市であるかのような壮大なプロジェクトだった。最初の構想から実現まで10 年の歳月を要し、そのなかにはアメリカ中西部からラテンアメリカ、ヨーロッパ、日本まで、ライトが経験した様々な風土と文化から取り入れられた要素が凝縮されている。帝国ホテルはライトにとって結節点ともいえ、ここでの経験やアイデアは、後のライトの建築や都市計画にも形を変えて様々に展開されていった。
なお愛知県犬山市にある博物館 明治村には旧帝国ホテルの中央玄関が展示されているので、合わせて訪れるのも良いだろう。