朝鮮人虐殺に触れた映像作品の上映求め都に要望書 制作の美術家ら
作品は「In―Mates」。戦前の精神科病院に入院していた朝鮮人患者の境遇を描き、朝鮮人虐殺にも触れている。
飯山さんは2022年、都の外郭団体が主催した自身の企画展で上映を予定していた。映像を確認した都人権部の職員が「朝鮮人大虐殺を『事実』と発言する動画の使用に懸念がある」などとするメールを外郭団体側に送付。その後、上映を不許可とした。人権部は「精神障害者と人権という企画展の趣旨から外れていたため」としている。
要望書は「上映中止を目的に後出しで趣旨を設定し、『作品の内容が趣旨からそれている』とする言い分には全く正当性がない」と、都の対応を批判。「憲法で保障された『表現の自由』が大きく侵害されている」ともし、上映の機会を設けるよう求めている。
提出後に記者会見した飯山さんは「誰が中止を決めたのか詳細を開示してほしい。いまだに書面でも口頭でも説明がない」と話した。虐殺犠牲者を悼む式典に小池百合子知事が17年から追悼文を送付していないことに触れ「知事の態度が積み重なることで行政全体に(同様の)態度が内面化され、職員もそう振る舞うことが正しいと思うようになった」との認識も示した。
人権部を所管する都総務局の川上秀一理事は「要望書を拝見した上で今後の対応を考えたい」と話した。【金志尚、後藤由耶】