原坂一郎の子育て相談 クラス内の子供の関係性に悩む
保育園で、5歳児クラスを受け持っている者です。クラスの中で意見をはっきり言える子と、そういった子に対して遠慮して言えない子がいて、はっきり言える子がその他の子に指示を出し、自分の思うように遊びを進めようとします。見ていて歯がゆく思うこともあります。一人一人が意見を言いながら楽しく遊べるようにするには、どのような対処、もしくは言葉がけなどをすればよいでしょうか? 保育士の大先輩である原坂先生の意見を、ぜひちょうだいしたく思います。
A
担任として常にクラス全体を見渡し、かつ、それぞれの子供の気持ちを理解しながら保育をされている様子が伝わってきます。だからこそ、現状を何とかしたくなるのですよね。
友達に命令したり、思い通りに動かそうとしたりする子供が気になるのは分かりますが、動かされている子供は案外、気にしていないかもしれません。子供というのは、現状を丸ごと受け止めるという性質を持っているからです。指示をされる子供は、「あ~あ、またこの遊び?」「また彼(彼女)が決めちゃった」などと思いながらも、その遊びを楽しんでいるかもしれません。
現状に対する不満を子供が言ってくる、支配の仕方が過激、という場合は別ですが、そうでないならクラスの現状として、しばらく様子を見守ることをお勧めします。放任ではなく見守りです。鬼ごっこなど、あなたのリードで遊びを進めている際にそのようなことが起こった場合は、積極的に「弱者」の意見も聞き、そちらを採用する機会を増やしてみてください。
子供の世界で自然発生していることを無理に矯正しようとすると、新たな問題が発生することがあります。園生活の中で起こったことは、時がたつとそのほとんどがいい思い出となります。あなたにとってはゆゆしき現状も、当の子供たちは将来「懐かしい出来事」として語り合い、そのとき、いま支配している子供が平身低頭で謝っているかもしれませんよ。(こどもコンサルタント)
プロフィル
はらさか・いちろう 23年間の保育士勤務を経て平成16年から、こどもコンサルタントとして研究・執筆・講演活動を行う。日本笑い学会理事。自他共に認める怪獣博士でもある。