中村健太が遺影の概念を揺さぶる!?「遺影、飾ってイイですか!?」展
「ファウンド・フォト」とは、誰かの家族のアルバム、ポストカード、インターネットで収集した匿名の写真などに新たな文脈を与え、作品へと昇華する技法である。中村曰く「ベリード・フォト(埋められた写真)」は、未来に誰かに掘り起こしてもらう待つ写真を指すという。中村は「写真を100年、200年後に見てくれた人が(こんなことがあったのか、と)見て信じるか、あるいは、深く調べていったら「やっぱり嘘じゃん」って分かったり、そういうことが起こったら面白いだろうなと思って、写真を発表しています」と語る。
「遺影、飾ってイイですか!?」展は、幼馴染の両親から先祖の遺影の複写を依頼されたことに端を発する。写真を通して思考を自由にドライブさせながら、おそらく身内や限られた人たちの目にしか触れることのない遺影についての中村の気づきを観る者に提示している。
幼なじみの両親から、ご先祖さまの遺影の複写依頼があった。話を聞くと、それらの写真を1枚の写真にレイアウトして作り直してほしいというのだ。L判プリントから無理やり引き延ばしたような鮮明でない写真を、高精細なデジタルカメラで撮影する。なんとも不思議な気持ちにさせられる。おそらく身内とその近辺の人しか目に触れないであろうそれらの写真は、 遺影写真への考え方や家族構成の変化によりこれからさらに、まとめたり縮小されていくのだろう。それを否定的に捉えるつもりは全くないけど少し寂しく感じた。そうだ、何がいいのかわからないけど遺影写真を仏間でない別の空間に飾ってみよう。だって思いついちゃったんだもの。
遺影飾ってイイですか!?ー中村健太