人々に魔法をかける「音と光のショー」が世界で人気に、アボリジニの聖地ウルルでも
1952年、フランスのシャンボール城で、ポール・ロベール・フーダンが史上初の音と光のショーを上演した。それは、音楽とナレーションが流れる中で、スライドプロジェクターを使って城に色とりどりの光を当てるというものだった。当時のフィガロ紙の記者はこのショーについて、「歴史的遺産を発見し、理解する新しい方法が生まれる予感がした」と書いている。
音と光のショーのコンセプトは人気を博した。英カンタベリー・クライスト・チャーチ大学の観光学教授ジェーン・ラベル氏は、「暗闇の中で音と映像に没入することが、人々に魔法をかけるのです」と言う。
それから数十年で、インドのデリーにある「赤い城」や米国フィラデルフィアの独立記念館など、多くの有名な観光地が音と光の魔法を利用するようになった。米国カリフォルニアの光のショーのプロデューサーであるライアン・ミジカー氏は「こうした歴史的建造物には、もともとその場所に魅了されている観光客がいたわけですから、努力は最小限で済みました。すでにある美しいものをライトアップするだけでよかったのです」と言う。
初期の技術は、ソファーほどの大きさの回転式スライド映写装置や、天気が悪くなると誤作動する気難しいステレオスピーカーなど、高価で扱いにくいものが多かった。ナレーションは歴史的な観点から言えば正確だったが、ぎこちなく、説教臭かった。エジプトのギザのピラミッドでは、くすんだ色の光に照らし出されたスフィンクスが古代の生活について高尚な話を聞かせる1960年頃からのショーが今も上演されている。