就活にチャットGPT 学生4人に1人「活用」 企業苦慮
チャットGPTは、米新興企業「オープンAI」が昨年秋に一般公開。人間の指示に従い、文章や画像を生み出す「生成AI」を活用し、質問を入力すると自然な文章が作成される。
ベネッセi-キャリア(東京都)が6月にインターネット上で実施し、大学3~4年生452人から回答を得た調査では、26・5%が就活にチャットGPTなどの生成AIを活用したことがあると回答。具体的な活用方法(複数回答)として最も多かったのは「志望動機の作成」(63・6%)だった。
活用理由(複数回答)は、「企業分析やES作成などの作業時間の短縮」(60・0%)や「今後のキャリアや自己分析などの思考整理の時間短縮」(45・8%)が目立った。活用のメリット(複数回答)として、77・5%が「自分では思いつかない気づきが得られた」と回答し、デメリット(単一回答)は65・3%が「なかった」と答えた。
就活でのチャットGPT活用に肯定的な考えを持つ大学3年の女性(21)=東京都=は「ES作成などの時間が減らせる分、自分の勉強や就活でも求められる『個性』を出したりするのに時間をかけられる」と話す。具体的な活用方法として、ESの文章を整えることや、志望する企業の分析、面接の想定問答を作ってもらうことを挙げた。
一方、多くの企業は表立って「就活でのチャットGPTの使用禁止」を掲げていないが、対応に苦慮している。ある金融機関の採用担当者は「チャットGPTを使った出来のいいESを出されれば、書類選考は通過しやすいだろう。その後の面接で学生の内面を深掘りし、実力や魅力を見極めるしかない」と語る。
日本総合研究所関西経済研究センターの藤山光雄副所長は「ESやウェブテストで使われると学生の資質を正しく測れない恐れがあり、企業や他の学生が不利益を被る可能性がある」と指摘。その上で「チャットGPTが使われることを前提に、ESなどの評価方法を見直したり、採用フローのなかでリアルでの筆記テストや面接を重視する必要がある」とした。(井上浩平)