アートはデザインとは異なる次元でサステナビリティを語る
永年にわたり山口県周南市の地域密着型企業として環境事業に携わってきた中特グループは、本社屋を新築するにあたって「働く場」だけではなく、地域に住む人々が出会い、イノベーションを起こし、あたかもコイルが渦を巻きながらエネルギーを蓄えるように、モノやコトに新たな価値を生み出す場、「Re」をデザインする存在にしたいという願いをこめた。
このアートコンテストは、廃棄されるものを利用したアートコンテストを通して、応募者、制作者やその作品を見る人々に廃棄物の再利用方法や環境保全の重要性について広く考えて頂くことが目的だという。
私は何十年もデザインの仕事をしてきた。中でも環境問題を課題とするサステナブルデザインが専門分野だから、アップサイクルは1990年代から関わってきたテーマだ。もちろん、絵画や彫刻をはじめ、いわゆるアートと言われる世界には馴染んできたから、アップサイクル・アート・コンテストと聞けば興味を持たないはずはない。
ところが、このコンテストの最終審査会にゲストとして立ち会って、生まれて初めてアートを脅威と感じ、同時に強い共感を覚えた。
今回が2回目だというCOIL Upcycle Art Contest2022には100点を超える作品が応募されたという。その中から7点にまで絞られた賞候補作品の作家が招かれてプレゼンテーションを行った。審査会場は新築のあっけらかんと透明で開放的。作家も審査員も主催者もみんな友達みたいでなにしろ明るい空間に、さりげなく置かれた7つの作品が居心地良さそうに溶け込んでいる。
以下、その会場で私が体験した作品たちの生の声をご紹介したい。