雪景色に「キーウ思い出す」 ウクライナのバレエ団が秋田で公演
日本での同バレエ団の公演は17日から始まり、全国9都市で12公演を予定し、 東北では福島、秋田、山形(25日)で公演。演目はスペインを舞台に繰り広げられる恋物語を描いた「ドン・キホーテ」で、来日したダンサー約70人と奏者約60人が出演する。ウクライナ政府の要請でチャイコフスキーの「白鳥の湖」などロシア作品は上演しなかった。
バレエ団は14日にウクライナを離れ、来日。24日午前の新幹線で前日に公演があった福島県から来県した。今月の同団芸術監督に就任した寺田宜弘さん(46)は「団員は新幹線の車窓から雪を見て『キーウを思い出す』と喜んでいた。寒い中、心温まる公演を楽しんでほしい」と話した。
バレエ団の拠点がある首都キーウでは、現在もロシアからの攻撃が続き、深刻な状況だ。寺田さんは「10月には劇場のすぐ近くにも爆弾2発が落ちた。空を飛ぶ爆弾も見た」という。「団員はキーウに残してきた家族を心配しながらも、『ウクライナの芸術は生きていると伝えたい』という思いで臨んでいる。公演ではウクライナの明るい国民性も感じてほしい」と話した。
主演のイローナ・クラフチェンコさんは「秋田の人に温かく迎えられて緊張が消えた。観客に喜んでもらいたくて舞台に立っているので、無事公演できてうれしい」と話した。また、観劇した秋田市の公務員、宇佐美利幸さん(51)は「故郷が大変な中、楽しく素晴らしいバレエを見せてもらった」と笑顔を見せた。【猪森万里夏】