建築界のレジェンド 磯崎新。名建築の数々とともに、その功績と謎に迫る
「謎」は、常に磯崎新につきまとう。会のスピーチで建築史家の藤森照信は、時代や状況に応じて建築物のスタイルを次々と変えてゆく磯崎のことは「なかなかよくわからない」と言い、思想家の浅田 彰は磯崎を“エニグマ(謎めいた)の人”と呼んだ。「オイディプスかスフィンクスか。磯崎さんのことを饒舌なスフィンクスだと言ったことがあります。近代の主体、特にアーティストやアーキテクトはオイディプスでした。オイディプスは世界の謎に自分から主体的に挑み解いてゆきます。対して、磯崎さんは先に自分の周りに謎のバリアを振りまいて、こういう解釈もできると自分で言ってしまう。謎の反復であり、その周りをさまざまな言葉が取り巻いている」
【写真】磯崎の初期作品である大分県立大分図書館の開館時の写真。ホール中心へと注ぐトップライトの光が美しい。1966年に竣工し、日本建築学会作品賞を受賞。1995年に閉館するが、改装され、複合文化施設「アートプラザ」となる。3Fには磯崎の建築模型や資料の展示スペースがある