名作絵本『ぐりとぐら』を生んだ出版社「福音館書店」に潜入!子どもの心を掴む絵本づくりの流儀
『ぐりとぐら』に『おおきなかぶ』など、絵本のロングセラーを数多く出版する福音館書店。そのトップが佐藤潤一社長だ。「子どもがいかに喜ぶ本を作るか。子どもの目線になって本作りをできるかどうかに尽きる」と子ども本位のスタイルを貫いている。
東京都文京区に本社を構える福音館書店。生誕60周年を迎えた『ぐりとぐら』の看板が出迎えてくれる。佐藤社長は棚から絵本を手に取り「これは『エルマーのぼうけん』シリーズで、超ロングセラーです。この『めっきらもっきらどおんどん』っていう絵本はファンタジーなんですけど、子どもが妖怪のところに行くという話。この世界観がとても良くて」と一つ一つ紹介してくれた。
発行部数560万部の『ぐりとぐら』を始め、子ども向けの絵本を中心に約1万点の作品を世に送り出してきた。福音館書店の原点について佐藤社長は「宣教師の方が金沢で小売りを始めた」と話す。福音館書店が誕生したのは1916年。カナダから渡ってきた宣教師が聖書などを扱う書店として、石川県金沢市の旧白銀町付近で開業した。
その後、本の流通関係の仕事をしていた佐藤社長の祖父、佐藤喜一さんが1940年に経営を譲り受けたという。
1952年には出版事業をスタートし、その後東京に本社を移したが、2012年までは金沢市の広坂通りに面した場所で店を続けた。東京で生まれ育った佐藤社長は大学を卒業後、サラリーマンを経て福音館書店に入社した。当時、会社の相談役だった叔父から「福音館というのは神様の創った会社だから、佐藤家個人の物ではないので心して経営をしなさい」と教えられた。「社会貢献のために福音館はある」という教えを受け継いだ佐藤社長は「子どもたちに喜んでもらうことで社会に貢献しようと。大人が子供に絵本を読んであげて、それが代々繋がっていくことが一番大事かなと思っている」と語る。