「原爆漫才」笑い交え新たな継承…「アップダウン」長崎県で迫真のステージ
阿部浩貴さん(46)と竹森巧さん(45)のコンビ。数年前から鹿児島県・知覧の特攻隊やアイヌをテーマにした芝居に取り組み、2021年から「原爆漫才」を始めた。当初は「不謹慎だ」との批判もあったが、原爆の悲惨さを分かりやすく伝えるシナリオや迫真の演技などが評判となった。
この日は満員となる約600人が詰めかけた。冒頭、竹森さんが「(今日は)そもそも笑いどころがあるかどうかも分かりません」とボケると、阿部さんが「それはだめだろ」とツッコむ。その後、自分たちの漫才に対し、被爆者らから励ましの言葉をもらったエピソードなどを披露した。
続いて、戦時中に周囲の目を盗んでどぶろくを造る男と警察の“攻防”をコントで上演。終盤には竹森さんが被爆医師・永井隆博士を、阿部さんが原爆で家族を失った少年を演じ、2人のやり取りを通して原爆の悲惨さや恐ろしさを伝えた。
会場からは観客のすすり泣く声も聞かれ、長崎市の女性(82)は「漫才で原爆をどう表現するのか分からなかったが、始まると引き込まれた」と話していた。後援した「長崎被災協・被爆二世の会・長崎」の山崎和幸会長は「今後は学校での公演もやってもらいたい。被爆体験の新たな継承方法として広がってほしい」と語った。