よく切れて美しい。料理が美味しくなる包丁10選。
トマトでもリンゴでも、刃を当てた瞬間にストンと包丁が落ち、切った後もスッと刃離れする。〈大塚刃物鍛冶〉の包丁は、鳥取県八頭郡智頭町(やずぐんちづちょう)の工房で、鍛冶職人の家系を継ぐ職人・大塚義文が作っている。この包丁を愛用し、工房を訪れたこともあるという人気料理家は、真っ赤に熱した鋼(はがね)の塊を打つ大塚の様子を、“まさに『鬼滅の刃』の炭治郎の世界!” と語っていた。
刃の材料は島根県安来(やすき)市で作られる希少な安来鋼。鋼を炉の中に入れ、炎をあげるコークスで熱して地鉄で挟み、叩いて伸ばす「鍛造」の工程を何度も何度も繰り返す。一丁ずつ時間をかけて手打ちされた刃物は、堅さと柔らかさ、強さと粘りを併せ持つ。
そしてなんといっても美しいのは、皮がついたままの山桜で作られる柄の部分だ。自然の造形を生かした形は、使えば使うほど手になじみ味わいを増す。これぞ一生ものの包丁ナリ。
取り扱いショップ
CIBONE 公式サイト
「種子島包丁」という名の刃物がある。種子島(たねがしま)といえば鉄砲伝来。1543年、島にポルトガル船が漂着し、日本に初めて鉄砲が伝えられた。その時たまたま船に乗っていたのは中国・唐の鍛冶職人。彼らが伝えた鍛鉄技術が島に残り、やがて鋏(はさみ)や包丁が作られるようになったのだ。
今回カーサが選んだのは、種子島包丁と種子島鋏を作り続けてきた老舗〈池浪刃物製作所〉の出刃包丁《種子島本種(ほんたね)》。切れ味と耐久性が持ち味で、見た目はガッチリだけどそれほど重たくなくて使いやすい。出刃はもともと魚をさばくために考えられた形だが、肉や野菜もスパスパ切れる“万能包丁”としてうってつけ。料理が楽しくなる一本だ。
種子島では昔から砂鉄が採れたために製鉄技術が発達し、刀鍛冶などの職人もたくさんいた。そこへ鉄砲を積んだ外国船が漂着したという偶然が、約480年後のキッチン仕事を楽しくしているのだからすごい!
取り扱い先
池浪刃物製作所 公式サイト