「上手に書けないことが面白い」 産経国際書展で高円宮賞に決まった村田白葉さん
平成11年の16回展では漢字で国際大賞、翌年の17回展は、かな部門で会長賞受賞の実績がありながら謙虚。今回、いにしえを手本とする-の意をもつ「古為鑑」を出品したのは、「古典をみて勉強するのが書道の基本」との思いから。篆書(てんしょ)は文字が縦に長いため、3文字が響きあうのは横書きと考え、30枚以上を書きこんだ。
小学3年時に書道塾に通うが、指導者の転居で1年足らずで中断。それでも中学まで毎年、学校代表に選ばれ、決められた課題を制限時間内に書き上げる席書大会に出席。「生涯続けられる趣味を持ちたい」と18歳から競書誌に課題を提出すると、年月をかけず「師範」に認定された。
結婚、子育て期間をはさみ35歳のときに出会ったのが浜松市に拠点を置く心龍会の村越龍川(むらこしりゅうせん)会長(産経国際書会最高顧問)。初対面で「すべてがなっていない」と酷評されたことで奮起し、それまで以上に書と真摯(しんし)に向き合うことになった。
出身地であり、半生を過ごす静岡県袋井市内で書道塾を開き40年余。小学生ら約50人を週に2日、指導する。「まずは礼儀を身につけてほしい」と力を込める。
指導がない日などは午前と午後の約3時間ずつを研究にあてる。「どの文字を書こうか、辞書で調べているとあっという間。奥深いし、上手に書けないことが面白いので飽きないですね」。書の探究は続く。