【瀬戸内国際芸術祭2022】女木島|ニコラ・ダロのユニークな”海図”で想像の旅へ。
ニコラ・ダロ《ナビゲーションルーム》
海に面した家屋に、六分儀やマーシャル諸島の海図「スティックチャート」などを組み合わせて天体の動きを示す、動くオブジェを設置。脇には12のオリジナル曲を流すオルゴールが置かれている。目をぱちぱちさせたり舌を出したりしているキャラクターはホメロスの叙事詩「オデュッセイア」に登場する怪物からインスピレーションを得たもの。
「女木島の鬼ヶ島伝説のことは知らなかったけれど、うれしい偶然になったと思う」(ニコラ・ダロ)
この作品は「ナビゲーション」と名づけられているが、「ナビゲーションというよりもイマジネーションが重要だ」とも作者は言う。向かうべき方向を指し示すのではなく、どこに行くべきか鑑賞者が自ら想像するためのオブジェだ。
三田村光土里《MEGI Fab(メギファブ)》
春会期に引き続き“営業”している「女木島名店街」のお店の一つ。アーティストの作品が買えたり、サービスが受けられるお店だ。
三田村光土里の《MEGI Fab》では作家が女木島で見つけた風景をテキスタイルにしてバッグなどに加工、販売している。布には女木島の写真に、作家がここからインスピレーションを得たパターンがデザインされている。工房もあるので鑑賞者が製造に参加したり、テキスタイルを購入して自宅で加工することも可能だ。
大川友希《結ぶ家》
こちらも春会期から公開されている作品。古民家の内外に、古着で作った紐が吊されている。古着は女木島に住む人や、島を訪れた人々に持ち寄ってもらったもの。家の中にはワークショップのためのスペースもあり、そこで紐の制作も行う。
服や布団などの布には使っていた人の思い出が染みこんでいる。誰かの思い出を紡ぎ合わせることで、人々の新たな出会いを生み出す。
島中心部に巨大な洞窟があり、鬼が住んでいたという鬼ヶ島伝説がある。宮永愛子らの”お店”がある《女木島名店街》のほか、レアンドロ・エルリッヒ〈不在の存在〉、大竹伸朗〈女根/めこん〉などの作品が見られる。
記事一番上の写真は女木港にある木村崇人の《カモメの駐車場》。風向計と同じ原理で、風にあわせて向きを変える。
女木島へのアクセスは「高松 – 女木島 – 男木島」の航路がある。本数に限りがあるため、詳細は公式サイトにてご確認を。
関連記事:『瀬戸内国際芸術祭2022』春会期スタート! 春うららかなアートの旅へ。