細かいだけじゃない。そごう美術館で7名の作家による流麗な切り絵の世界を堪能
「切り絵」とは、ハサミやナイフなどで紙を切り抜いて貼ることで絵を描く技法およびその作品のこと。カットした際に生じる断面を活かすことで、絵の具やペンとは異なる、独特な効果が生まれる。
本展では、現代日本を代表する女性の切り絵作家に焦点を当て、その作品総計100点以上を展示する。出品作家は、蒼山日菜、SouMa(ソウマ)、筑紫ゆうな、福井利佐、切り剣Masayo、松原真紀、柳沢京子の7名。
蒼山日菜は小さなハサミだけを使い、まるで繊細なレース編みのように切り抜いた作品、SouMaは「切り絵」の概念を超えた立体的で重層的かつ作品を特徴とする。
筑紫ゆうなは多くのパーツを絵具やパステルで着彩することによってユーモラスかつ不思議な世界を構成し、福井利佐は高度なデッサン力に裏打ちされた曲線描写で、大胆な構図かつ鮮やかな一枚を仕上げている。
生き物をテーマに制作する切り剣 Masayoは、一枚の紙を切り抜くことによって、すべてつながっているとは信じ難い立体感と生命力をもつ作品を展示する。
さらに、松原真紀は素材から郷里の八女手漉き和紙にこだわり、柳沢京子は日本古来の渋紙を用いた切り絵の第一人者であるなど、扱う素材についても作家の個性が反映されているという。
切り絵アーティスト7名による、こだわりあふれる作品が楽しめる本展。会場では、切り絵の繊細で華麗な世界を堪能するとともに、その概念が揺さぶられるようなひとときを過ごすことができるだろう。