デンマーク建築界の知られざる巨匠、ラウリッツェンの名作家具がカール・ハンセン&サンから登場。
デンマーク建築界の巨匠、ヴィルヘルム・ラウリッツェンがデザインした家具を、当時のデザインから改良を加え新たに誕生した《VLA26 Vegaチェア》と《Foyer(フォイエ)シリーズ》。昨年、設立100周年を迎えた建築設計事務所「ヴィルヘルム・ラウリッツェン・アーキテクツ」の全面サポートにより、〈カールハンセン&サン〉が製品化した。
ヴィルヘルム・ラウリッツェンは、デンマークで最も重要な建築家のひとりであり、デンマーク建築に機能主義をもたらした真の先駆者と言える。1921年にデンマークの美術アカデミー建築科を卒業後、翌年の1922年には「テグネスチューン・ヴィルヘルム・ラウリッツェン事務所」を設立。同年に建築家のフリッツ・シュレーゲルと共に最初の主要な建築作品〈デールズ・デパートメント・ストア〉を設計している。
1922年といえば、まだデンマークではイェンセン・クリントがかの有名な〈グルンヴィスト教会〉の設計・建設に着手して間もない頃。後にデンマークを代表する建築家、デザイナーとして名を馳せるアルネ・ヤコブセンにおいては、まだ本格的に建築を学びはじめる少し前の時代だ。
世界的にみても、まだ当時の建築は建物の形状や装飾に焦点を当てる古典主義に席捲されており、「機能主義」の風が吹き始めるのは1930年代に入ってからのこと。当初からラウリッツェンは、「建築やデザインは特権階級のためのものではなく、大衆のためのもの」という思想を基に、機能性の高さに加え従来の概念にない柔軟な発想を用いた建築作品を次々と手がけた。照明や家具、ドアの取手や蝶番など、細部に渡るディテールの全てをデザインしたことでも知られている。
まだ若きフィン・ユールがデンマーク王立芸術アカデミー在学中からその門を叩き、約11年もの間ラウリッツェンの元で研鑽を積み、共に仕事をしたと聞けばその存在と影響の大きさが伝わるだろうか。