もっと街にアートを。見慣れた風景にアートを注入する「108 ART PROJECT」とは?
スクラップ&ビルドが絶えず続く日本の各都市で、すっかり日常の風景に溶け込んでいるのが工事現場の仮囲い。視覚的には無機質で意味を持たないスペースだが、何かのメッセージを持たせる試みも少しずつ増えている。そんな中で新ビル建設地の仮囲いアートを皮切りに、ビルや空港のエントランスなど各地でアートプロジェクトを展開しているのが「108 ART PROJECT」という試みだ。
「108 ART PROJECT」は「まちにART(賑わい)を、ひとにART(豊かさ)を」をキャッチコピーに掲げ、「訪れたくなるまち、にぎわいのあるまちづくりへの貢献」「アーティストの新たな活躍の場の提供と育成」「アートからビジネスにつながる出会いとイノベーションの創出」という3つのミッションを担っている。このプロジェクトを始動した、山下PMC取締役専務執行役員の木下雅幸氏にきっかけを聞いた。
「仮囲いが街の人々と建設現場で働く人々を分断していることに強い問題意識を持ち、いつかあの無機質な壁を街にとっても建設産業の働き手にとっても良いものに変えていきたいと思っていました。
3年前から『108 ART PROJECT』を具体的に進めることにしたのは、より良い街にしようと取り組んでいるプロジェクトが、主人公であるはずの人々から遠い存在になっていると感じることが増えて、ハードの力だけでなくソフトの力での取り組みが必要だと思ったから。
街に点在している白い仮囲いをアートに変えただけでも、道行く人が楽しい気持ちになったり、違う視点でモノを見るきっかけになるなど、ワクワクする街になれば自然に人が集って賑わうだろうと思ったので、仮囲いに描くのは想像を超える“ワクワク”、つまりアート以外の選択肢はありませんでした」