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フィリップスのアジア新本社が香港にオープン。そのインパクトとは?
2023-03-29
フィリップスのアジア新本社が香港にオープン。そのインパクトとは?

 世界3大オークションハウスのひとつであるフィリップスのアジア本社が、3月18日に香港・西九龍文化地区(WKCD)に移転した。


 西九龍文化地区は、香港故宮文化博物館や戯曲センターなどが集まる香港屈指の芸術文化エリア。2021年に同地区内にオープンしたヴィジュアル・カルチャー博物館「M+」の真横に位置しており、ミュージアムとマーケットの距離感を近づけようとする意図が読み取れる。


 新本社が披露されたのは、コロナ禍以降初のフルスケール開催となった「アート・バーゼル香港」と同時期。海外からも多くのアート関係者が集まるなかでのお披露目は、強烈なインパクトを与えることに成功したと言えるだろう。


 同社が移転したのは、総面積5万2000フィート、全6階建てとなる「WKCDAタワー」。設計はスイスの建築家ユニットであるヘルツォーク&ド・ムーロンが、内装は香港を拠点とするLAAB
Architectsが担当した。施設内にはオークションルームや展示ギャラリー、オフィス、カフェ、VIPラウンジが併設されており、年間を通して様々なオークションやイベントが実施される予定となっている。ただオークションを行うだけではない、という点がポイントだ。


 この新本社では、初のセールも3月30日~31日の期間で実施される。ハイライト作品には草間彌生、奈良美智、マシューウォン、ロイ・ホロウェルらの作品が挙がるとともに、村上隆やロッカクアヤコといった日本を代表するアーティストの作品も数多く登場している点が特徴と言える。

 今回のセールで最大の目玉となるのは奈良美智による作品《Lookin' for a
Treasure》(1995)だ。青地の背景に黄色の服をまとった少女が印象的な本作は4枚のキャンバス作品からなるシリーズであり、そのうちのひとつは徳島県立現代美術館の常設コレクションとして所蔵されている。

 本作の出品に関して、フィリップス
アジア代表のジョナサン・クロケットは次のようにコメントした。「奈良美智による作品は過去4年間の記録からも、年々市場における人気が高まっていることが明らかとなっている。社会的な認知度も高く、ここ数年ではロサンゼルス、ダラス、パース、上海、台北といった主要都市での個展も開催されている。過去の同社による《Missing
in Action》(2021)や《Hothouse
Doll》(2020)といったセールでも非常に高いオークション価格を記録している。今回香港の新たなセールルームでこの傑作を紹介できることを楽しみにしている(リリースより一部抜粋)」。

 なお今回のセールにおいて同社は、本作が奈良作品における過去最高落札価格となることを予想している。


 もうひとつの目玉となるのは草間彌生による作品2点だ。現在M+で開催中の日本以外におけるアジア最大級の回顧展「草間彌生:1945から現在まで」にあわせた出品となっており、よりいっそう注目を集める作品と言ってもよいだろう。


 草間の《Pumpkin》(1995)は、パンプキン、水玉模様、インフィニティネットの3つが集約されているアイコニックな作品であり、いままでオークションに出品された草間作品のなかでも、もっとも価値あるもののひとつ。この作品は有名コレクターであるカレン&ロバート・ダンカンによって寄贈されたもので、予想落札価格は4000万~5000万香港ドル(約6億6700万~8億3400万円)となっている。

 また、本作の販売利益はアメリカ・アイオワ州にあるカーネギー美術館へと寄付され、ローカルアートや若手作家の支援に活用される予定だ。

 もう1点出品されるのは、草間の繊細な一面を垣間見ることができる《Infinity Dots
(HTI)》(2001)だ。草間にとって水玉模様は、幻覚の具現化であるとともに、それらに対する治療手段でもある。「幻覚や幻覚への恐怖」を絵画へと昇華した壮麗な3枚続きの本作は、今回初めての出品となる。予想落札価格は2500万~3000万香港ドル(約4億1700万~5億円)。

 中国系カナダ人のアーティスト・マシューウォン(1984~2019)による《The Road》(2018)も初出品される。本作はニューヨークのKarma
Galleryで展示されていたもので、壮大な風景を描いた本作はマシューウォンのお気に入りでもあったという。

 以前同社のセールで出品され、3770万香港ドルで落札された《River at
Dusk》にも類似しており、本作も2400万~3500万香港ドル(約4億~5億8380万円)で落札されることが予想されている。

 さらに国際的なオークション市場で注目されている若手アーティストのひとり、ロイ・ホロウェルによる《A Gentle Meeting of
Tips》(2018)も出品さる。2018年は世界的な認知につながったペースでの個展や、第一子の妊娠が判明するなどホロウェルにとっても重要な年であった。自身の身体とリンクする同作はそのようないくつもの経験が反映されている、2018年の代表作と言えるだろう。こちらの予想落札価格は500万~700万香港ドル(約8340万~1億1680万円)だ。

 香港新本社への移転から初セールの実施について、フィリップス
CEOのステファン・ブルックスは次のように意気込みを述べた。「フィリップスはめざましい成長続けており、過去2年連続で年間売上高を記録している。同社の強みは、20~21世紀の作品にのみに焦点を当てた唯一のオークションハウスであるという点だ。今年は2015年12月に香港で初めてオークションを開催してから8周年となるため、このアジアのオークションマーケットに期待をしている。我々がいまもっとも重要視していることは、トップコレクターがどこにいるのかを知ることだ。香港の新本社では、現在年に2回開催しているライブオークションの代わりとなるビジネスが可能となるだろう。フィリップスは、今年のカレンダーをセールと展覧会で埋め尽くす予定だ(リリースより一部抜粋)」。

 なお香港では今後、「Fauna and Flora
:ジュエリーオンラインオークション」(~3月29日)や「フィリップス時計オンラインオークション:2023 春
香港セッション」(~4月4日)、香港新本社での時計やジュエリーのセールも5月に実施が予定されている。香港でフィリップスがどのような旋風を巻き起こすのか、要注目だ。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/81bc3d99f38ad1e0dd4e339315c79468ae628a27

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