楽しんで 繊維で多彩な造形「ファイバーアート」15人展 京都

「ファイバーアートの15人展」と題し、京都を拠点にするベテラン作家の久保田繁雄さんらが企画した。ファイバーアートは1970年代に新しい芸術表現として世界に広がり、かつては西陣を擁する京都でも国際公募展が開かれていた。しかし近年は展覧会で紹介される機会も減り、専門的に学ぶ学生も少ないという。魅力を知ってもらおうと久保田さんらは2018年、「7人のファイバーアート展」を同館で開催。21年には中堅作家も加え15人で開催した。
今回は一部メンバーを入れ替えての15人展。久保田さんは「Shine in the Color Forest」と題したシリーズから3点を出品した。緑と紫のコントラストが印象的な立体作品で、縦と横で異なる麻糸を使った帯状の織物を複層的に配置。久保田さんは「森の中で感じる風や音、木漏れ日を表現した」と話す。同じくベテランの草間喆雄(てつお)さんの作品は「今まで見たこともないようなものを作りたい」と約10年前から手がけるシリーズ。ステンレスの芯にレーヨンの糸を巻き付けた色とりどりの棒を数百本並べ、グラデーションやところどころに設けた起伏で、季節の移ろいなどを表現した。
大阪芸術大特任教授の小野山和代さんは、純白の薄い布を使った作品「ORIKATAX」と、制作の際に出た切れ端を再利用した「みちくさ」を出品。中堅作家の前田千絵子さんの「潜在する鼓動を聴いた」はフェルトを使ったユニークな作品で、原初の生命を感じさせる。久保田さんは「70年代からの潮流を知らない若い人たちにとっては新鮮に映ると思う。これを機会にぜひファイバーアートの世界を知ってほしい」と話す。入場無料。京都文化博物館(075・222・0888)。