• オンラインツール
  • - 計算機
    • 文字数カウント
  • - ダウンロード
    • TikTok ダウンロード
    • Douyin ダウンロード
  • - Webツール
    • BASE64
    • Base64→画像
    • 画像→Base64
    • URLエンコード
    • JavaScript
    • タイムスタンプ
    • ユニコード変換
    • JSON整形
    • 拡張子変更
    • リスト作成
    • CSS最適化
  • - 暗号化ツール
    • MD5暗号化
    • ランダムジェネレーター
  • - 画像ツール
    • 画像圧縮
    • QRコードジェネレーター
    • QRコードリーダー
    • 壁紙プレビュー
    • 画像 EXIF
  • - 情報シート
    • 血液型遺伝
    • 服のサイズ
  • [email protected]
DopuBox
  • English
  • Español
  • Français
  • 日本語
  • 한국어
  • 简体中文
  • 繁體中文
全部 ニュース Meta Code 文化・アート
怒りの鉄槌――「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(62)
2022-04-07
怒りの鉄槌――「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(62)

 煤けた古材がひしめくストックヤードに足を踏み入れる。
「こちらがご実家の古民家の解体で出てきた古材です」
 ニッカポッカ姿の担当者が無造作に顎をしゃくる。懐かしい大黒柱や太い梁、鴨居、そして欄間。コップ酒を手にした父がそこにいて微笑んでいるような気がした。
「いいものですよ。老舗旅館や和風居酒屋もきっと飛びつきます」
 横浜の大学での講義を終えた帰り道、転んで頭を強打したのは晩冬の夕方のことだ。少しの間、意識を失い、誰かがのぞき込んでいる気配がして目を開けた。すぐに救急車のサイレンが聞こえてきた。
 救急病院のベッドでは頭痛がひどく左手はグローブのように腫れあがっていた。突然、くぐもった声が聞こえてきた。
 こりゃ、骨折だな。いい歳だし問題は頭だ。脳内出血していたらアウトだぜ。それにしても今日はやたら忙しいなあ。あーあ、ついてねえ。
 誰の声だろう?乱暴な言葉遣いだが、どうやら目の前の若い医者の胸のつぶやきみたいだ。そいつが面倒くさそうに説明を始めた。
「ああ、気が付かれましたか。頭、痛かったでしょう。念のため、CTをとっていただきます」
 歩道の脇に杭があるなんて。真っ暗で見えやしない。体が宙に浮いて頭からマンションの壁に激突した。左手の小指は骨折の重傷だったが脳内出血は免れた。
「頭は異常なしですが、頭痛や吐き気があったらすぐ連絡してください。そうそう、幻聴も」と念を押した後、こんな本音が響いた。
 脳震盪をおこしているんだ。セカンドインパクト症候群になったら、死ぬぜ。
「セカンドインパクト?」
 思わず知らない言葉を繰り返すと、医師の口角には歪んだ笑みが張り付いていた。
 不思議なことだが、転倒事故で頭がショックを受けた後遺症で相手のつぶやきや囁きが聞こえるようになった。あの夜遅く、アパートに帰った時の妻のあわてようといったら。
こんな時間まで一体どこをほっつき歩いていたのかしら。まさか女のところじゃないでしょうね。
「女?とんでもない。病院だよ」ニヤリとして言い返したら、ガマガエルを踏ん付けた時のような金切り声をあげた。
 そういえば、あの事故はどこか妙だった。父の怒りの鉄槌かもしれない。そんな突拍子もない考えが浮かんだ。無口な父だったが、昔から理不尽な振る舞いには容赦がなかった。
 ひょっとして、あのことか。私の実家は、地方の山奥にある。先祖は江戸時代からずっとそこに住んできた。今の家は築70年だが、父が近隣の山から立派な木を探しては建築資材にあつらえた堅牢な家だ。「いい木を探すのに苦労したんだ。この家は地震や台風が来てもビクともしないぞ」そんな自慢話をよく聞かされたものである。
 2階の床板には伊勢湾台風で倒れた近くの八幡さまの巨大な松の木が使われている。思い入れのある実家ではあるが、長男の私は生活基盤はあくまで東京。空き家は処分するしかないとつらい決断をしたばかりだ。両親は私が定年になれば故郷に帰って来ると最期まで首を長くして待っていたが、期待を裏切ってしまった。それでも、金箔を貼りなおした仏壇ともども家屋敷を手放すなど想像すらしなかっただろう。今、生きていたら怒って、拳固が飛んできたに違いない。
 多少のケガでは大学を休むわけにもいかないので、木曜日、電車に乗って出かけた。いつの間にか眠ってしまったらしい。読みかけの文庫本がパタッと落ちる音で目が覚めた。目的の駅はとっくに通り過ぎ、見慣れない景色が車窓を飾っている。ちょうど電車が止まったのであわてて降りる。真鶴という表示が目に入った。
 偶然にも志賀直哉の「真鶴」を読んでいたところだった。真鶴の漁師の子が弟と小田原まで下駄を買いに行くという物語で、その子は法界節の流しの女の乗った列車が脱線するのを空想する。不吉な幻想は作家自身が電車にはねられた経験と関連しているのかもしれない。
 事故後、温泉治療中に志賀が書いたのが「城の崎にて」で、大学の文章論の授業で何度か教材に取り上げている。
 いま読み返すと、身に染みる。一歩間違えば、墓石の下にいたかもしれないという心境も私とよく似ている。土の中で仰向けに寝て、隣を見ると父母や祖父母が何のかかわりもなく横たわっているというあたりの描写は身震いをするほどさみしく哀しい。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/2f3c9ccc8e7af662ddb810eb40cdf6792cdbf48d

その他のツール
  • 文字数カウント TikTok ダウンロード Douyin ダウンロード BASE64 Base64→画像 画像→Base64 URLエンコード JavaScript タイムスタンプ ユニコード変換 JSON整形 拡張子変更 リスト作成 CSS最適化 MD5暗号化 ランダムジェネレーター 画像圧縮 QRコードジェネレーター QRコードリーダー 壁紙プレビュー 画像 EXIF 血液型遺伝 服のサイズ
  • ジョン・レノンのギター4億5千万円で落札
    2024-05-30

    藤井聡太八冠、瀬戸際の戦い 将棋叡王戦、31日に第4局
    2024-05-29

    一力が本因坊初防衛
    2024-05-30

    ブームなぜ起きた? 東京国立近代美術館で「ハニワと土偶の近代」展
    2024-05-30

    エリザベートコンクールで吉田さん6位入賞
    2024-06-01

    日本の「木」の文化を家具を通して世界へ【ミラノデザインウィーク】
    2024-06-01

    ポール・オースターの名言「けれどオニオンパイの味は…」【本と名言365】
    2024-06-02

    本年入試私立公立とも志願者微減 栄光ゼミナール担当者にきく 埼玉中高入試最新動向
    2024-06-04

    福島県沖地震で解体 老舗文具店の新ビルが開店 イベントスペースも
    2024-06-04

    美術評論家連盟が「ガザ戦争に対する意⾒表明」を公開
    2024-06-04

    建築家・白井晟一設計の個人住宅「桂花の舎」が江之浦測候所に移築へ
    2024-06-04

    「CLAMP展」が国立新美術館で7月より開催。展示数は史上最多の約800点
    2024-06-04

    GROUP「島をつくる | Planning Another Island」(マイナビアートスクエア)開幕レポート。高層ビルのなかで建築をコンポストする
    2024-06-05

    akakilikeの新作ダンス公演『希望の家』が松本・東京の2都市で上演へ
    2024-06-04

    東京都写真美術館で「今森光彦 にっぽんの里山」が開催へ
    2024-06-04

    開館10周年を記念。「広重 ─摺の極─」があべのハルカス美術館で開催へ
    2024-06-05

    3日間限定発売! 名作パントンチェアが新たな魅力を纏った限定カラーで登場。
    2024-06-05

    古今東西 かしゆか商店【つづら】
    2024-06-05

    ブリン・バン・バン・ボンが1位 ビルボード、上半期人気曲
    2024-06-06

    パートナーとの強い絆から生まれた、ベンジャミン・ブリテンの代表作【クラシック今日は何の日?】
    2024-06-06

    ©  Dopu Box
    💛