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【スクリプカリウ落合安奈インタビュー】若き女性アーティストを駆り立てる創作の原動力とは
2022-05-08
【スクリプカリウ落合安奈インタビュー】若き女性アーティストを駆り立てる創作の原動力とは

さまざまな問題意識を抱え、アートへと昇華させる4人の女性アーティストたち。若き彼女たちを駆り立てる創作の原動力とは。


 日本とルーマニアというミックスルーツを持つスクリプカリウ落合安奈。人と人の間に立ちはだかるさまざまな壁をテーマとした作品を3年にわたって制作し続けた。


──《骨を、うめる》は2019年以来つくり続けている作品ですが、落合さんにとってどういう意味を持つものなのでしょう?

 自分の出自であるミックスルーツから見る、“国”という枠組みに関心を抱きました。時代とともに世界は変化しているのに、昔つくられた”国”という枠組みは追いついていない部分があると思うんです。この作品は、いわゆる「鎖国」下にあった江戸時代にフィアンセに会いにベトナムへと渡り、その地で亡くなった人物のお墓を訪れたことから始まりました。これまで母や自分のもうひとつのルーツであるルーマニアをモチーフにして作品をつくってきましたが、直接関わりのない誰かの物語をモチーフにしたのは初めてでした。

(画像)
《骨を、うめる―one’s final home》(2021)。江戸時代の日本人商人・谷弥次郎兵衛のエピソードからインスパイアされ制作した作品。谷はベトナムで出会い、その後日本の「鎖国政策」により離れ離れになったフィアンセに再び会いにベトナムへと渡り、生涯をこの地で終えた。2019年に最初の作品を制作し、2021年、その最終形ともいえるインスタレーションを『TERRADAART AWARD 2021 ファイナリスト展』で発表した
──一貫して同じテーマを追い続ける理由は?

 日本で生まれ育ったのですが、外国人として扱われるような経験が幼少期から多々ありました。昔から深い根のように続いていることの延長に自分の生があって、同じ時代に生きている人たちとの間にも摩擦のようなものを感じて過ごしてきました。美術の道に進んだのは、幼い頃から絵を描くのが好きで、周りの人に褒めてもらうことも多く、「ものをつくる」ことが大事なコミュニケーションツールとなったんです。そして現代美術に出会い、社会問題に対して作品に昇華するという向き合い方を知り、一人で悩んでいたことが自分だけの問題ではないことにも気がつきました。国境を越えて生を受ける人は今後も増えていくと思いますので、微力かもしれないですけれど、美術の力を使って少しでもいい方向に変えていくことができたらと思います。美術はいろいろな受け取り方をしてもらえるので、たくさんの人に「問いの種」のようなものを自然に残していける作品をつくれれば。

──この作品はコロナ禍でもつくり続けられました。鎖国が再び現実化したような状況は、創作に影響を与えましたか?

 作品をつくり始めた時点では「鎖国」は遠い過去のもので、いかにそれをフィールドワークなどで引き寄せるかをずっとやっていたのですが、現実に鎖国のような状態になって、コミュニティや国の輪郭が壁のように立ち上がり、みんながその中でくくられる状況になった。私自身のリアリティも変化しましたが、作品と鑑賞者の関係も変わったと思います。よりリアリティを持って作品が届く状態ができたように感じます。

──落合さんを創作へと駆り立てるものは?

 もっと世界の構造を知りたいという思いでしょうか。創作を通じて、いろいろな人や土地と出会うことで、世界の構造が見えてくると同時に、自分の世界の見方が広がってゆく。世界への好奇心が創作の原動力であり、アートは私と世界をつなぐものなのです。
スクリプカリウ落合安奈(ANA SCRIPCARIU-OCHIAI)
1992年埼玉県生まれ。2016年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2019年同大学大学院グローバルアートプラクティス専攻修了、現在は同大学大学院彫刻専攻博士課程に在籍。「土地と人の結びつき」や「帰属意識」をテーマに、絵画、写真、映像、インスタレーションといったさまざまなメディアを用い制作。2020年、公立美術館での初個展となる『Blessing beyond the borders ―越境する祝福―』を埼玉県立近代美術館で開催


BY JUN ISHIDA

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/1df220ed39b5eb097163045aca50c5a50fecd077

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