• オンラインツール
  • - 計算機
    • 文字数カウント
  • - ダウンロード
    • TikTok ダウンロード
    • Douyin ダウンロード
  • - Webツール
    • BASE64
    • Base64→画像
    • 画像→Base64
    • URLエンコード
    • JavaScript
    • タイムスタンプ
    • ユニコード変換
    • JSON整形
    • 拡張子変更
    • リスト作成
    • CSS最適化
  • - 暗号化ツール
    • MD5暗号化
    • ランダムジェネレーター
  • - 画像ツール
    • 画像圧縮
    • QRコードジェネレーター
    • QRコードリーダー
    • 壁紙プレビュー
    • 画像 EXIF
  • - 情報シート
    • 血液型遺伝
    • 服のサイズ
  • [email protected]
DopuBox
  • English
  • Español
  • Français
  • 日本語
  • 한국어
  • 简体中文
  • 繁體中文
全部 ニュース Meta Code 文化・アート
「弟」について
2023-04-27
「弟」について

 自分がどのようにして大江作品に出会ったかという、それこそ「個人的な体験」をエッセイとして書くことはどうにも恐れ多い。そしてまた、正確に思い出そうとするとこれがなかなか難しいのである。

 まず間違いなく大学時代の初めではあったろうと思う。私は文学に関して高校時代までオクテだったから。金銭的な余裕もなかった私はたぶん、一人暮らしを始めた西武新宿線野方駅前の商店街にある古本屋で一冊の文庫を買ったのだと思う。

 今も本棚に並んでいるその新潮文庫は初めから黄ばんでいたはずだ。ただし、それが『死者の奢り・飼育』であったか、『芽むしり仔撃ち』であったかが思い出せない。どちらも同じように古びており、長いあいだ隣りあって並びながら左右のどちらかに『われらの時代』『見るまえに跳べ』などを増やし、やがて講談社文庫に変わって『万延元年のフットボール』や『壊れものとしての人間』『叫び声』とつながっていった。今ではどれも年季の入った古本だ。

 さて、もう一度「正確に思い出そう」としてみる。初めて大江作品に触れるにあたって、その頃の私に『芽むしり仔撃ち』のような長編を買う勇気、あるいは作家に対する知識があったろうか。反対に『死者の奢り・飼育』のようなある意味グロテスクな世界観を持つ短編群を、ウブな私は好み得ただろうか。ただし、どちらにしても自分が鮮烈な読書体験をしたことは確実で、そうでなくては文庫を買い足していくはずがないのである。
 こうして確かめようのない過去に潜りこんでみると、その二冊こそが客観的に言っても大江文学にとって特別な位置を占めているのを実感する。初期の青い果実のような、苦味の入り混じった短編群『死者の奢り・飼育』は実存主義の世界的潮流を鮮やかに映し出しており、六〇年代の若者たちの内面を先取りしている。そうした時代の流れを大きな寓話に託したのが『芽むしり仔撃ち』であり、弱い者たちの閉鎖状況をこれほど甘やかに切なく描いた文学作品も珍しい。

 そして、この二冊の延長線の交わるところに、構造主義と物語と歴史を文学であらわした大作『万延元年のフットボール』があり、事実私もその結実を「遅れてきた青年」として受け取ることになるのだが、もしも自分が『死者の奢り・飼育』から大江作品を追っていたのなら、作品内の二人の「青年」(蜜三郎、鷹四)がもろともに陥る苦境をより苦く味わっただろうし、『芽むしり仔撃ち』から見通していたなら彼ら「兄弟」がことごとく反目する姿により強く心を痛めていただろう。

 どちらにしても以降、『芽むしり仔撃ち』にあらわれたけなげでいじらしい「弟」はすっかりいなくなる。まるで『万延元年のフットボール』が「弟殺し」、もしくは『芽むしり仔撃ち』の世界自体を完全に消し去ってしまうためにあるかのように。そして作家は『個人的な体験』によって事実、自らの青年期に別れを告げるかに見える。すると私たちは、『死者の奢り・飼育』から引かれた一本の直線上に作品群を並べていくことになるだろう。

 しかし、そうなればあの静謐で美しく残虐な『芽むしり仔撃ち』はどこに位置づけられることになるのか。私が偏愛してきた、冬の村に監禁された子供たちの世界は。大江健三郎が二度と書こうとしなかった少年小説の結晶は。つまり、象徴的に言えば「弟」は。私は大江作品を読む時、どこかで常にこの「書かれない世界」を探し求めてきたようにも思う。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/a44570fc4a8c9f4744532b8e7d31d39ed3d50a0d

その他のツール
  • 文字数カウント TikTok ダウンロード Douyin ダウンロード BASE64 Base64→画像 画像→Base64 URLエンコード JavaScript タイムスタンプ ユニコード変換 JSON整形 拡張子変更 リスト作成 CSS最適化 MD5暗号化 ランダムジェネレーター 画像圧縮 QRコードジェネレーター QRコードリーダー 壁紙プレビュー 画像 EXIF 血液型遺伝 服のサイズ
  • 美術館の裏側を伝える展覧会「鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復」レポート
    2024-05-29

    被害者「問題解決には程遠い」 旧ジャニーズ被害者らが会見
    2024-05-29

    囲碁、一力遼本因坊が初防衛 余正麒破り三冠堅持
    2024-05-30

    「ねこクラゲ」被告、脱税認める 原稿優先で申告せず、福岡地裁
    2024-05-31

    “家形埴輪”大集合、総選挙も 「住宅展示場の気分で」、奈良
    2024-06-01

    〈テロ事件と「美の復讐」〉15世紀末・イタリア「メディチ家兄弟暗殺計画」とルネサンスの画家たち
    2024-06-01

    大阪はアートとデザインの街となるか? Osaka Art & Design 2024の見どころをレポート
    2024-06-03

    香川県・直島に開館する新たな美術館の正式名称が「直島新美術館」に決定
    2024-06-03

    写真家たちは強大な権力の抑圧にどう抗ったのか。バルト三国の写真家に焦点を当てる展覧会をレポート
    2024-06-04

    アレクサンダー・カルダー個展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」が開催
    2024-06-04

    第34回福岡アジア文化賞受賞者が決定。大賞は真鍋大度
    2024-06-04

    「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」(東京国立近代美術館)開幕レポート。トリオで再発見する3館のコレクション
    2024-06-05

    「ゲバルト」展が東京日仏学院などで開催。反暴力的反応とその美的様式を探る
    2024-06-05

    お台場エリアを舞台に新芸術祭「東京お台場トリエンナーレ 2025」が誕生
    2024-06-05

    多摩美術大学がAIやサーキュラーなど5つの最先端のテーマを研究するプラットフォームをスタート
    2024-06-04

    「KOGEI Art Fair Kanazawa 2024」開催決定
    2024-06-04

    3日間限定発売! 名作パントンチェアが新たな魅力を纏った限定カラーで登場。
    2024-06-05

    田名網敬一が新作の巨大インスタレーションを発表へ。世界初の大規模回顧展「田名網敬一 記憶の冒険」
    2024-06-06

    写真家の吉田ルイ子さん死去
    2024-06-06

    佐渡金山「情報照会」と勧告 世界遺産登録に可能性残す
    2024-06-06

    ©  Dopu Box
    💛