戦後民主主義世代の旗手 社会的言動では物議も 亡くなった作家の大江健三郎さん 2023-03-12 3日に88歳で亡くなったノーベル賞作家、大江健三郎さんは戦後民主主義世代の旗手として半世紀以上も文学界を牽引(けんいん)してきた。占領期の閉塞(へいそく)感、核兵器への脅威、障害のある息子との共生…。私的な体験に神話や伝承を織り交ぜた物語は難解だが、同時代性に満ちていた。キリスト教のような絶対的な神が存在しない日本を足場に、危機に陥った現代人の苦しみと魂の救済を描いた小説はそのまま世界文学となった。