諏訪敦展から東博の国宝展、静嘉堂文庫美術館の曜変天目まで。今週末見たい展覧会ベスト7
写実絵画のトップランナーとして注目を集めながら、写実性からの脱却に意欲的に取り組む画家・諏訪敦。その絵画制作における認識を問い直し、拡張することをテーマとした展覧会
諏訪敦「眼窩裏の火事」が東京の府中市美術館でスタートする。
本展は、終戦直後の満州で病没した祖母をテーマにしたプロジェクト《棄民》、コロナ禍のなかで取り組んだ静物画の探求、そして絵画制作を通した像主との関係の永続性を示す作品群を紹介するものだ。なお成山画廊では、2023年1月13日~2月18日に諏訪の個展「Sphinx」が開催されるので、こちらもあわせてチェックしたい。
なお成山画廊では「Sphinx」が同時開催される。
会期:2022年12月17日~ 2023年2月26日
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1-3
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00 ※展示室入場は16:30まで
休館日:月(1月9日は開館)、12月29日~1月3日、1月10日
料金:一般 700円 / 高校・大学生 350円 / 小・中学生150円
「RICOH ART GALLERY」閉館前最後の企画展。「名和晃平個展 Focus」(RICOH ART GALLERY)
東京・銀座のRICOH ART GALLERYが今年の12月をもって閉館。活動の締めくくりとなる企画展「名和晃平個展
Focus」が、本ギャラリーにおける最後の展覧会となる。
名和晃平は京都を中心に活動する彫刻家。感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として、2002年に情報化時代を象徴する「PixCell」を発表した。
同ギャラリーは、デジタルサービス、印刷および画像ソリューションなどを主力事業とするリコーグループによるもので、東京・銀座4丁目の交差点の「三愛ドリームセンター」内で活動を続けてきた。「アナログとデジタルの融合」をテーマに新たな価値を目指すというコンセプトのもと誕生したギャラリーで、これまで同社のプリント技術「StareReap」を様々なアーティストが駆使し、新作を発表してきた。
本展では、名和の主な制作テーマである「世界をかたちづくる不可視の力」をもとに、リコーの立体印刷技術「StareReap」をかけあわせることで作品を制作。星や大地などの「天体」をモチーフとした12点の新作立体作品が発表される。
会期:2022年12月13日~24日
会場:RICOH ART GALLERY
住所:東京都中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター8F / 9F
開館時間:12:00~19:00(最終日~18:00)
休館日:日月祝
料金:無料
12月18日まで会期延長。「国宝 東京国立博物館のすべて」(東京国立博物館)
1872年に発足し、日本最古の博物館として知られる上野の東京国立博物館。同館の開館150年を記念し、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が現在12月18日まで会期を延長して開催中だ。
日本でもっとも長い歴史を持ち、最大級の規模を誇る東博が、その代表的な所蔵品を一挙に公開するというのは今回が初の試み。展覧会は2部構成で合計150件(うち国宝89件、重要文化財24件)が展示されている。
とくに、第1部「東京国立博物館の国宝」で、東博所蔵の国宝89件(日本最多)すべてが会期中に公開されている点が注目ポイントだ。現在、日本には902件の国宝があるが、その約1割がこの展覧会で見ることができる貴重な機会となっている。会場レポートは
こちら。
会期:2022年10月18日~12月18日(会期延長)
会場:東京国立博物館 平成館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:00(金土~20:00、12月13日~18日は本展に限り~20:00)
休館日:月
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生 900円
3人の絵師が紡いだ「光線画」の世界。「闇と光 ―清親・安治・柳村」(太田記念美術館)
太田記念美術館では、明治時代における木版画の表現に焦点を当てた展覧会「闇と光 ―清親・安治・柳村」が12月18日まで開催されている。
いまから約150年前の1876(明治9)年、小林清親(1847~1915)は、西洋からもたらされた油彩画や石版画、写真などの表現を、木版画である浮世絵に取り込むことによって、これまでにはない東京の風景を描いた。
真っ暗な夜の街に輝くガス灯の光や、鮮やかな赤い色に染まった夕焼けの空など、光や影のうつろいを巧みに捉えた清親の「光線画」は大いに流行し、井上安治(1864~89)や小倉柳村(生没年不明)といった絵師たちものちに続くこととなる。この流れは木版画の新しい可能性を切り開くものであり、近年注目される「新版画」の先駆けとも言えるものだ。
本展では、清親の作品を中心に、これまで紹介される機会の少なかった、安治と柳村が描いた光線画およそ200点が展示されている。会場レポートはこちら。
会期:2022年11月1日~12月18日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:30~17:30 ※入館は17:00まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 700円 / 中学生以下無料
輝く生命をとらえる穏やかなまなざし。個展「川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり」(東京オペラシティ アートギャラリー)
柔らかい光をはらんだ淡い色調を特徴とし、生命の輝きをとらえ続ける写真家・川内倫子。その個展「川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり」が東京オペラシティ
アートギャラリーで18日まで開催中だ。
熊本以来6年ぶりの大規模展となる本展では、川内の過去10年の活動に焦点を当てるとともに、展覧会タイトルにもなっている新作シリーズ「M/E」を展示。10シリーズで構成された会場デザインは、写真のみならず映像作品や、2018年に出版した写真絵本の朗読をサウンドとして取り入れながら、展覧会をひとつの体験として提示することを試みている。会場レポートは
こちら。
会期:2022年10月8日~12月18日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00~19:00 ※入場は18:30まで
休館日:月(祝日の場合は翌火)
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料
丸の内に移転開館。「静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展I 響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」(静嘉堂文庫美術館)
静嘉堂文庫美術館が世田谷区岡本から、東京・丸の内にある明治生命館1階へ移転、開館した。その開館記念展第1弾である「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」が、12月18日まで開催しされいる。
1892(明治25)年、三菱第二代社長・岩﨑彌之助(1851~1908)によって創設された静嘉堂は、息子の岩﨑小彌太(1879~1945)によって拡充された父子二代によるコレクションを有し、和漢の古典籍約20万冊と、東洋の古美術品約6500件を所蔵している。そのうちに国宝7件、重要文化財84件を含む。
本展では、静嘉堂が所蔵するすべての国宝を一挙に展示。国宝《曜変天目(稲葉天目)》などをはじめとする茶道具、琳派作品や中国書画、また陶磁器・刀剣などの選りすぐりの名宝が、新たな建築空間にあわせた4つのテーマで公開されている。会場レポートは
こちら。
会期:2022年10月1日~12月18日
会場:静嘉堂文庫美術館
住所:東京都千代田区丸の内 2-1-1 明治生命館 1階
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00(金~18:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月、11月8日、9日
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料
日本の「デザインの宝」を発掘。「DESIGN MUSEUM JAPAN 展 集めてつなごう 日本のデザイン」(国立新美術館)
日本各地に存在する優れた「デザインの宝」。それらを集めてネットワークを試みる展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN
展 集めてつなごう 日本のデザイン」が東京・六本木の国立新美術館で12月19日まで開催されている。
本展は、山形、新潟、甲府、静岡、富山、和歌山、岡山、福岡に加え、昨年度に先行実施した5地域をあわせた13地域からデザインの宝物を見つけ出し、クリエイターの視点でひも解くことでその魅力を可視化するもの。また、日本中のそれらをつないでいくことで日本の「デザインミュージアム」を浮かび上がらせることも試みる。
展覧会には、田根剛(建築家)、皆川明(デザイナー)、西沢立衛(建築家)など十数名のクリエイターが参加。それぞれのクリエイターの作品展示に加え、鑑賞者が体験できるワークショップも展開されている。様々な優れた作品を通し、日本の「デザインの宝」を発掘してみてはいかがだろうか。会場レポートは
こちら。
会期:2022年11月30日~12月19日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) ※入場は閉館の30分前まで
料金:無料