<竜王戦記録係の横顔・松下洸平初段>自分で着付けをして和服で盤側へ、藤井聡太竜王の気迫を体感
愛知県名古屋市出身の松下初段。中学、高校時代に着付けを習い、現在は一人でサッと和服を着ることができるとのこと。「記録係ではありますが、和服が竜王戦という将棋界最高峰の舞台にふさわしいと思いました」と少し照れながら話しました。
もともと、竜王戦七番勝負で記録係は和服を着ていましたが、コロナ禍となって、それはなくなり、スーツ姿になりました。奨励会員で着付けができる人はいませんでしたが、松下初段は着付けができる希有な人材です。「親が、あれこれ習い事をさせるのが好きでして。少年時代は水泳、書道、ボーイスカウトなど、色々習ったり、取り組んだりしました」と振り返ります。
普段は、関西将棋会館や名古屋将棋対局場で行われる公式戦で記録係を務める松下初段。藤井竜王の公式戦の記録を過去に4回、取っています。驚くべきことに、松下初段が記録係を務めた対局で、藤井竜王は1勝3敗と負け越しているそうです。「ほとんど負けない先生なので、何だか申し訳ないような」と話します。「藤井竜王は劣勢になると、前傾姿勢になって、すさまじい気迫が伝わってきます。ひたむきさ、闘争心に感動し、圧倒されました」と語ります。
「藤井竜王、広瀬八段の切れ味鋭い終盤を竜王戦七番勝負の盤側で学び、一歩一歩、棋士に近づいていきたいです」と松下初段は話しました。(吉田祐也)