国宝級銅鏡と鉄剣 発掘現場で考古学ファン心躍らせ 富雄丸山古墳
古墳からは国宝級とされる盾の形をした銅鏡(長さ64センチ、幅約31センチ)と巨大な鉄剣(全長237センチ、幅約6センチ)が、未盗掘の埋葬施設で出土した。
いずれも国産とみられ、盾形銅鏡が確認されるのは初。市教委などは「鼉龍(だりゅう)文盾形銅鏡」と名付けた。鉄剣は曲がりくねった形が特徴の蛇行剣で、古墳時代の鉄剣としては東アジア最大、蛇行剣では国内最古という。
盾形銅鏡と蛇行剣は保存処理中のため、発掘現場には原寸大模型が置かれた。また、新型コロナウイルス対策で、一般公開は担当者が説明する形ではなく、見学者が立ち止まらずに歩きながら見る形で実施した。見学者たちは興味深そうに「おお、ここか」と食い入るように見ていた。また、富雄丸山古墳を模したクッションを持参した古墳ファンの女性もおり、会場は熱気に包まれた。
訪れた大阪市の神職、浅川千洋さん(56)は「ここの発掘体験にも何度も参加するほど古墳が大好き。すごいものが出土して心が躍った」と笑顔。大阪府寝屋川市の元会社員、田中久夫さん(75)は「発見を知ったときはすごく驚いた。現物が公開されるのが楽しみ」と話した。
◇湧水施設形埴輪も出土
富雄丸山古墳の墳丘南東側からは、水の祭祀(さいし)を表現した家形の埴輪(はにわ)が見つかっている。内部に湧き水に関する施設のある「湧水(ゆうすい)施設形埴輪」で、その最古例になるという。南東側には、祭祀のための空間が広がっていたと考えられる。
また、北東に隣接する富雄丸山2号墳と3号墳が一体の前方後円墳である可能性が高いことも分かった。レーザー測量の結果から、6世紀後半の横穴式石室がある2号墳に対し、3号墳に埋葬施設がないことや、両古墳の間に区画する溝がないことを確認。2号墳を後円部、3号墳を前方部とする全長約40メートルの前方後円墳である可能性があるとする。【塩路佳子】