前澤友作が所蔵するバスキア大作、フィリップスで競売へ。予想落札価格は80億円以上
幅約5メートルにおよぶこの作品は、バスキアのキャリアのなかでも最大級のもの。制作年である1982年はバスキアの「アナス・ミラビリス(驚異の年)」とも言われており、同作は1996年に出版されたバスキアのカタログ・レゾネの表紙を飾ったほか、いくつかの回顧展でも目玉作品として紹介されている。
前澤は、2016年5月にクリスティーズ・ニューヨークの戦後・現代美術イブニングセールにてこの作品を約5700万ドル(当時のレートで約62億円)で購入。当時のバスキアのオークションレコードを塗り替え、アートワールドで注目を浴びた。なお、バスキアの現オークションレコードは、前澤が2017年のサザビーズで落札した《Untitled》(1982)の約1億1050万ドル(当時のレートで約123億円)だ。
前澤は今回の出品について声明文を発表。「躍動感、そして生命感の漲るバスキアの《Untitled》を、約6年にもわたり、コレクションとして一緒の時を過ごしてきた」とし、その出品理由について次のように述べている。
「アートコレクションとは、つねに変化・進化し、より多くの人々に共有されるべきものだと信じている。そして、構想中の美術館に展示する作品の幅を、今後さらに広げていくためにも、《Untitled》を手放すことを決意した」。
フィリップスのプレジデントであるジョン=ポール・エンゲレンは、「このような作品はオークションではめったに見ることができず、コレクターからの需要もかつてないほど高まっている。バスキア市場にとってとくにエキサイティングな時期に、またフィリップスにとって記録的な年に、前澤氏から《Untitled》の売却を任されたことを光栄に思う」とコメントしている。
バスキアの作品において4000万ドル以上で落札されたのは7点のみで、そのうち3点は昨年落札されたもの。ここ1年間でその作品価格は急激な上昇を見せている。
なお、同作はイーサリアムまたはビットコインの暗号通貨による支払いも可能。5月のセールに先立ち、ロンドン、ロサンゼルス、台北で巡回展示される予定となっている。