日常の中の愛しいものたち。「マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち」がDIC川村記念美術館で開催
マン・レイは20世紀を代表する芸術家であり、ダダ・シュルレアリスト。絵画、彫刻、オブジェや写真といった幅広いジャンルにおいて、知性とユーモアあふれる作品を残した。
とくにマン・レイによって生涯にわたり自由に制作されたオブジェは、ものや言葉の詩的な組み合わせで成立しているのが特徴だ。本展では、作家活動の後期より「我が愛しのオブジェ」と称した《破壊されざるオブジェ》、《贈り物》、《ニューヨーク
17》などの代表作を含む、約50点をメインに展開していく。
展覧会は全3章と3つのトピックで構成。まず第1章「アメリカのマン・レイ(1890~1921)」では、キュビズムに傾倒した実験的な初期の絵画作品や、最初の結婚、フランス出身の芸術家、マルセル・デュシャンとの出会いを通して前衛的なオブジェ作品が紹介される。
第2章「パリのマン・レイ(1921~1940)」では、マン・レイが憧れの地、パリへと渡った頃の作品が展示。アイロンに鋲を一列に取り付けたオブジェである《贈り物》をはじめとする、1920~30年代のパリの空気をまとった作品群が紹介される。
第3章「オブジェの展開(1940~1976)」では、第二次大戦を逃れてアメリカに戻っていた時期の作品や、その後、1951年に再びパリに移ってから生み出された数々の遊び心とウィットに富んだオブジェが紹介される。
また、「マン・レイのオブジェ」をより深く知るための3つのトピックから成るセクションも用意されている。そのうちの1つであり、作家活動の初期より制作してきたマン・レイの自画像は、形式がセルフ・ポートレイトのみならず、オブジェや自伝など多様である。ほかにも、「我が愛しのオブジェ」という言葉が記されたエフェメラ(チラシなどの資料類)や、世界各地で開催された展覧会のポスターを展示することで、マン・レイのオブジェについての多角的な鑑賞体験をもたらしてくれるだろう。