子育てが一段落、音楽への思いが復活「口笛奏者」に 姫路の奈帆子さん「たくさんの人を癒やしたい」
三木露風作詞「赤とんぼ」などの童謡は包み込むように優しく、勇ましい「トルコ行進曲」はきびきびと-。すぼめた口元から次々と飛び出すメロディー。「自分の頭の中にあれば、だいたいの曲は再現できる」と話す。
東京で生まれ育った。子どもの頃、学校では孤立しがちで、家でも親にきつく当たられた。そんな時、隣家から漏れ聞こえるピアノの音色が心を癒やしてくれた。音楽が大好きになった。
中学、高校時代にリコーダーやクラリネットを演奏した。卒業後は看護師になり、早い結婚をして一人娘を授かったが、数年後に子を連れて家を出た。シングルでの子育てが一段落し「また音楽がしたい」と思い始めた2010年、住んでいた埼玉の街の広報紙に「口笛教室」の文字を見つけた。
日本口笛奏者連盟の会長が教える講座。「体一つでできて、自分の感情が表現しやすい」と夢中になった。生来の凝り性で、同じ曲を何時間も家で吹き続け、「そろそろ違う曲を」と娘に注意される始末。練習のかいあってめきめきと腕を上げ、4年後には会長の生徒300人前後が集まる大会で優勝した。カルチャースクールの講師を務めるようにもなった。
3年前に縁あって兵庫県の姫路に移住。「音楽で生計が立てられたら」と、一昨年秋からユーチューブなどで発信を始めた。「多くの人に見てもらうのは、まあ難しいけど」と苦笑しつつ、CDも自主制作。「たくさんの人を癒やしたいから、コンサートもいっぱい開きたい」と前を向く。