名和晃平の新作大型彫刻が、パリの西・セーヌ川の中州に誕生。
「滞仏中にセガン島に足を運び、それ以来、セーヌの土地を包む空気との調和を目指しながら、作品の模索を続けてきました。例えば、十二角形をベースとした多面体による構成は、〈ラ・セーヌ・ミュジカル〉のドームと呼応しています。柔らかなシルバーピンクに輝く色彩は、移り変わる空の色や植物の緑、川面に映える夕日の色に美しく馴染むことを意図しました」と名和。
セガン島の歴史、新しい文化圏としての役割、そしてコンペのテーマ「平等」に思いを馳せ、水や重力という普遍的なモチーフが浮かんできたという。
「《Ether》 は大小様々なボリュームを垂直に連ねた柱のような彫刻です。一つ一つのボリュームは、地面に落下する滴からシルエットを取り出し、それを回転・上下反転させて組み合わせることで造形しています。滴のかたちを決定する重力とその反転力が打ち消し合うことによって生まれた、調和した静止状態の結晶体です。それを積み重ねることで、無数の均衡を内に湛えた形が立ち上がります」