日本の「金継ぎ」世界的人気のナゼ……ブームの本質が見えてきた
金継ぎは、割れたり欠けたりした陶磁器を漆で接着し、継ぎ目を金、銀、朱色などで飾る伝統的な修理方法だ。歴史的には、室町時代くらいから漆器の技術を応用して、はじめられたと言われている。本当かどうか分からないが、金継ぎが生まれたエピソードに、こんな面白い話がある。
12世紀頃、中国から贈られた有名な青磁の茶碗があり、貴重な宝ものだった。15世紀になり、その茶碗は、足利義政の所有となった。茶碗にひび割れがあったので、「これに代わる茶碗が欲しい」と中国に送った。しかし、「同じような青磁茶碗は作れない」と言われ、ひびを金属の「鎹(かすがい)」で止め、日本に送り返してきたのだ。この茶碗のかすがいは、馬の背中に乗ったイナゴに見立てられ「馬蝗絆(ばこうはん)」という銘が付けられた。しかし、これがきっかけで漆器の技術を使い、さらに美しく直す方法を考えだしたのが「金継ぎ」だと言われている。