母国の歴史・文化を守り伝える使命を果たすため「ウクライナ国立民族舞踊団」が20年ぶりの日本ツアー【長崎発】
世界80カ国以上で海外公演を行い、高い評価を得ている「ウクライナ国立民族舞踊団」。
セリフや歌はなく、伝統の衣装に身を包んだダンサーが、音楽に合わせて踊り、観客を魅了する。20年ぶり3度目となる日本ツアーを行っているが、2023年6月の大阪公演は3階席まで「満席」状態で、会場は文字通り「万雷の拍手」に包まれた。
観客:
大感動でした。みなさんの表情もよくて衣装も可愛らしく情熱も伝わってきました
観客:
びっくりしました。あんなにきれいで可愛くて感動しました。シーンが次々に変わって、言葉を発しているわけでもないし、歌っているわけでもないが、表情など全身で表していてすごい感動した
ヴィクトル・サヴァドスキー団長:
どの公演も満員で温かく歓迎してもらっていて、より良い踊りを見せたいとはりきっている。今回のプログラムは、ウクライナを旅する気分になるような構成になっていて、踊りだけでなく民族衣装なども言葉が分からなくても、ウクライナ中を味わえる
公演は2部構成で約2時間。様々な国や地域に囲まれたウクライナでは、地域ごとに守り伝えられた歴史や文化、衣装がある。
速いテンポ、弾んだステップが特徴の「ポルカ」。チェコの民俗舞曲だが、ウクライナ・北西部では「好きな人を誘う踊り」に。
そして「定番」でありながら毎回会場が盛り上がるのが「コサックダンス」だ。「コサック」の起源は「自由な人」「属さない人」だ。15世紀から16世紀にかけて「コサック」と呼ばれる軍事集団がつくられ、17世紀ごろから活動の中心をザポリージャ地方に設けた。
演目を終えるたび、ダンサーたちは呼吸を整えながら次の出番に向けた準備のため、会話を重ねる。
ロシアの侵攻を受けウクライナでは、18歳以上の男性は原則、出国できない。一方で舞踊団に課せられた使命は歴史や文化を守り、伝えること。20年ぶりとなる日本公演もその一環で、出国が認められた。
ヴィクトル・サヴァドスキー団長:
私も団員も、日本に来ることを楽しみにしていた。日本に来て多くの新しい刺激も受けてとてもうれしいが、心はウクライナから離れない。家族や友人たちのことを思わない日はない。とても心配している
家族や仲間を戦火のもとに残してきた団員にとって、特別な思いを寄せているのが、長崎公演だという。
ヴィクトル・サヴァドスキー団長:
長崎のことは世界中が知っている。いまウクライナは特に被爆への思いが強いので、私は長崎に初めて行くが最初に原爆犠牲者に花を手向けたいと考えている。全力を尽くしたいと思う
舞踊団は長崎公演(2023年7月14日長崎ブリックホール)に合わせ来崎し、原爆落下中心地で献花する。母国・ウクライナの歴史・文化を守り伝える使命を担う舞踊団は、平和への祈りをあらたに、きょうも多くの人を魅了し続けている。
(テレビ長崎)