東京国立近代美術館が「ゲルハルト・リヒター展」を開催
同展では、展示の構成をリヒター自身が監修。時系列などで特定の鑑賞順を設けず、来場者が自由にそれぞれの作品を往還することで、作品同士の繋がりを発見できる展示空間を創出した。
また、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りした写真のイメージを下層に忍ばせた近年の最重要作品「ビルケナウ」を日本初公開。そのほか、初期のフォト・ペインティングからアブストラクト・ペインティング、最新作のドローイングまで、リヒターが手元に置き続けてきた作品を含む多様な創作物を紹介する。東京国立近代美術館 主任研究員の桝田倫広は「出展作品はリヒターの家族や身近な風景を描いた作品が目立つ。これらは彼にとって大事な作品であると推測できる」と語っている。
会場では、展示作品を解説する音声ガイドを提供。自身もリヒター作品のファンだという女優の鈴木京香がナビゲーターを務め、過去のリヒターの言葉を交えながら作品を読み解く。鈴木は「一つのイメージにとらわれず、どこまでも広がっていくリヒター作品の深い魅力を、鑑賞者の皆様が読み解くための一助になれば光栄です」とコメントしている。価格は会場レンタル版が600円で、アプリ配信版が610円。
また、展覧会特設ショップでは、同展限定のオリジナルアイテムを販売。出展作品をオールカラーで紹介する公式図録(3900円)のほか、同展のメインヴィジュアルを手掛けたグラフィックデザイナー 平林奈緒美がデザインした「re-wrap トートバッグ」(3850円/全て税込)など、これまで関連商品が製作されることがほとんどなかったリヒターのグッズを取り扱う。
桝田は「東京国立近代美術館70周年の節目で戦後美術を牽引してきたリヒターの展覧会を開催できるのは意義深い」した上で、「今回の展覧会は、リヒター作品の力強さを感じられる貴重な機会になる。1人でも多くの人に見てもらいたい」とコメントしている。