月に住める日はもうすぐ? 〈SAGAスペース・アーキテクツ〉による宇宙用住居。
デンマークの設計事務所〈SAGAスペース・アーキテクツ〉の舞台は、まさに宇宙だ。建築とは何か? という既成概念を覆し、物理、生物、心理学などの科学者を巻き込みながら宇宙建築プロジェクトを展開している。
彼らは人類の宇宙進出をあくまで一般人の視点で捉えており、事務所発足から常に月面での生活をシミュレーションしてきた。2020年には、月に一番近い環境とされるグリーンランドの北極圏で1号機「LUNARK」の実験を3か月間行っており、今回はそのバージョンアップとなる第2号。その名も「Rosie」は、3階建てで6つの居住空間からなり、SpaceX社のスターシップ内にぴったり収まる設計だ。
過酷な条件にも耐え得る波状の表面は、スイスの全寮制学校ローゼンバーグとのコラボによって最新の3Dプリンター技術を用いて製作された。建物内には完全制御デジタルブレイン「ODIN」を搭載。さらに月では昼と夜が28日周期のため、体内時計を維持できるよう地球と同じ自然光を再現するライトも導入された。
プロトタイプは現在ローゼンバーグの校内に設置されており、実際に8~18歳の生徒が2人ずつ交代で「Rosie」での生活に入る。同校の所有するボストン・ダイナミクスの4つ足型ロボット「SPOT®」も共に機内で過ごすルームメイトだ。映画の世界だけではない月旅行がより現実味をおびた彼らのプロジェクトから、当分目が離せない。