アニオー姫を知っていますか?ベトナム王女と日本の商人が恋に落ち…17世紀の実話が新作オペラに
新作オペラ『アニオー姫』は、今から約400年前、17世紀初頭に朱印船貿易でベトナムを訪れた長崎の商人・荒木宗太郎と、時のベトナム王・広南(ダンチョン)国王の娘・玉華(ゴック・ホア)姫が主人公。ベトナムで運命的な恋に落ち、日本の長崎で幸せに暮らす2人に、やがて鎖国という時代の波が襲いかかり……というストーリー。
タイトルの『アニオー姫』は、玉華姫がベトナムの言葉で宗太郎にいとおしく呼びかける“アイン・オーイ(愛するあなた)”を長崎の人々が耳にし、そのまま姫の愛称となったもの。
長崎の有名なお祭り「長崎くんち」では7年に1度、宗太郎役の男の子と、玉華姫役の女の子を乗せた朱印船(荒木船)の演(だ)し物が登場することからも、2人がいかに長崎の人々に愛されていたかがわかります。
「今回は鎖国前夜の物語をオペラにしたわけですが、400年よりもっと前から交流の歴史はあったはずです。その当時の人々が通じ合ったこと、育んだものが、今の両国の根幹にあるのではないかと思います」と語るのは、本作の総監督であり、ベトナム国立交響楽団の音楽監督兼首席指揮者の本名徹次さん。
3年以上前からオペラの構想を練ってきたという本名さん。日越から集結したスタッフ&キャストに“最高のチーム”と太鼓判を押します。「日本公演を通じて、ベトナムにはすばらしいオペラ歌手、音楽家、舞台監督がいることを知っていただきたい。同時に、本公演が日本で日々がんばっているベトナムの皆さんへのエールになればと思います」。
ダブルキャストでアニオー姫役を務めるのは、ベトナムオペラ界の第一線で活躍するソプラノ歌手のダオ・トー・ロアンさんとブイ・ティ・チャンさん。7月某日の記者発表に合わせて初めて来日した2人は、会見の数日前に揃って長崎を訪問。長崎市内にある大音寺にて荒木宗太郎と玉華姫の墓参りも果たしたそうです。
相手役となる荒木宗太郎を、テノール歌手の小堀勇介さん、山本耕平さんが務めます。猛練習したというベトナム語での美しい歌唱にも注目を。
●『アニオー姫』日本プレミア公演は、2023年11月4日(土)、東京・昭和女子大学人見記念講堂にて。https://anio-opera.jp/japan/
●人気漫画家の東村アキコさんが書きおろした『アニオー姫~海を越えたプリンセス~』も公開中。サイトから無料で読めるので、オペラ鑑賞の前にぜひご一読ください。
https://japanvietnam50.org/anio-manga