アーティスト・蔡國強が第二の故郷いわきで見せた満開の花火。いわき白天花火《満点の桜が咲く日》
国立新美術館で6月29日に始まる大規模な個展「蔡國強 宇宙遊 ―<原初火球>から始まる」先駆けた関連イベントとして、サンローランのコミッションとして開催されたこのイベントは、人々を感動に巻き込んだ。
蔡といわきのつながりは深い。蔡は86年12月から95年9月までの約9年間を日本で過ごしたが、いわきは、蔡の生活と芸術の両面において第二の故郷ともいえる特別な場所になった。かけだしの蔡と妻の呉紅虹はいわき市民と交流を深め、蔡の作品実現のための志賀忠重を中心としたグループ「実行会」も結成された。
95年に蔡がニューヨークに移住した後も、いわきの友人達は「蔡國強通信」を定期的に発行し、いわきの人々に蔡の近況を共有。友情はこれまでも続いてきた。
93年、いわきの四倉町に引っ越した蔡は、「実行会」の仲間たちや、地元の多くのボランティアとともに、爆発イベント《地平線プロジェクト 環太平洋より:外星人のためのプロジェクトNo.14》およびいわき市立美術館での個展「蔡國強:環太平洋より」の準備に着手。94年の「環太平洋より」展は、蔡にとって日本の公立美術館での初めての個展となった。爆発イベント《地平線プロジェクト 環太平洋より:外星人のためのプロジェクトNo.14》では、5000mの長さの5本の導火線の爆発の火が暗闇の海面に現れ、火薬の爆発の閃光が地球の輪を描画。
今回は約30年ぶりの、蔡によるいわきでの大プロジェクトとなった。志賀は今回のイベントに際して「当時、(蔡さんを)弟のように感じていた。いまは世界的に有名になったけど、その彼がいわきに戻ってきました」と再会に喜びを滲ませた。