国登録有形文化財を有する宿〈沼津倶楽部〉が生まれ変わりました。
今回のリニューアルオープンに際し、話題を集めたのが数寄屋造にお目見えしたモダンチャイニーズレストラン〈茶亭〉だ。料理監修を務めたのは、鎌倉〈イチリンハナレ〉の齋藤宏文シェフ。静岡県御殿場市出身ということもあり、県産食材を積極的に使う。
自店と同様、“分解と再構築”をテーマに掲げ、なじみのある中華料理に新たな要素を加えてオリジナルのひと皿に。「生まれ育った静岡の食材を使う料理をその土地で食べてもらうことは、自分にとって初めての経験。駿河湾の魚介をはじめとした、沼津の自然の恵みを味わえるコースで、特別な体験をしてほしい」という。
例えば、〈イチリンハナレ〉のスペシャリテとして知られるよだれ鶏。柔らかな肉質で甘みが強い県産の美味鶏を使い、ゴマやナッツの風味が香ばしい自家製辣油と2種の黒酢で作ったタレをスープの如く器にたっぷりと注ぐ。まず鶏を味わい、次にもっちりとした皮でジューシーな豚肉餡を包んだ餃子、最後に山椒を練り込んだ爽やかなオリジナル麺をタレに絡めて食べる“3度おいしい”一品だ。
また最高級のヨシキリザメを用いたフカヒレ姿煮は、伝統メニューにシェフの遊び心をプラス。煮込む前にフカヒレを炙ることで香ばしさをまとわせたり、同じスープを使った少量のリゾットを途中でサーブしたり。
料理に合わせるドリンクは、県内にあるブルワリーのクラフトビールや紹興酒のほか、ブルゴーニュを中心にセレクトしたワインのペアリングも。こだわりのほうじ茶やモクテル、ティーペアリングなど、ノンアルメニューも用意する。