今年の六本木アートナイトのテーマは「都市のいきもの図鑑」。大都会で生態系に思いを馳せるアートに出合う。
2009年の開始から今年で12回目を迎える『六本木アートナイト』。東京・六本木という大都市の中で繰り広げられるアートの饗宴として親しまれているが、今年は少し趣が異なるかもしれない。
生きることや様々な生命の存在について深く考えること、持続可能な社会や地球環境に意識を向ける必要性を多くの人が感じている昨今の社会背景を受け、今回のテーマは「都市のいきもの図鑑」に決定。アート作品を通じて、大都市の象徴的な街のひとつ・六本木で、人間はもちろん、動物や昆虫、植物などといった生き物が、いかに命を育み、どのような生態系で共生しているのかを提示していく。
メインアーティストの1組、栗林隆+Cinema Caravanの栗林は、東西統合間もないドイツで過ごしていた頃から「境界」を重要なテーマとし、同時に人と自然の関係、自然環境などに向き合ってきた現代アーティスト。写真家、大工、料理人などによって構成されるCinema Caravanと共に、全世界のエネルギーとその循環をテーマにした大作を〈六本木ヒルズアリーナ〉で公開する。
そして、近年、美術館の在り方を問い直すような展示で注目を集める鴻池朋子が、もう1組のメインアーティスト。自然界や動物と人間の関係を斬新な視点で作品化してきた鴻池が、〈国立新美術館〉、〈東京ミッドタウン〉で大型作品を展示する。
今回の参加に向け、鴻池は「私たちはどこまで人間でどこから動物なのかな。虫なのか、鳥なのか、風なのか、草なのか、土なのか。『六本木アートナイト』は境界線や分類が曖昧になり、“どうぶつのことば”が飛び交うトポスになるかもしれない」と語る。
他にも、気鋭のアーティストらが参加し、六本木の中に様々な生命を発見できるコンテンツを展開。鑑賞者は都市に生きる命を想像することで、意識していなかった多様な繋がりを実感する機会になるだろう。
2023年5月27日~28日。無料。〈六本木ヒルズ〉、〈森美術館〉、〈東京ミッドタウン〉、〈サントリー美術館〉、〈1_21 DESIGN SIGHT〉、〈国立新美術館〉、〈六本木商店街〉、その他六本木地区の協力施設や公共スペースにて開催。六本木アートナイト実行委員会 TEL 050 5541 8600(ハローダイヤル/9時~20時)。