芥川龍之介の短編「蜜柑」の世界を体験 神奈川・横須賀でツアー
人気の「トンネルのまち横須賀」体感ツアーの第4弾。「戦争と小説にゆかりのトンネル」をテーマに、トンネル探究家の花田欣也さんのガイドで、田浦駅から横須賀駅までのトンネル、踏切、「蜜柑」の一節が刻まれた文学碑がある吉倉公園を巡る。
横須賀市などによると、芥川は大正5(1916)年12月から約2年4カ月間、横須賀にあった海軍機関学校で英語の教官を務め、「蜜柑」は下宿先の鎌倉へ帰る汽車の中で遭遇した出来事を作品にした。
憂鬱な気持ちでいた芥川の前に奉公先へ向かう少女が現れ、汽車がトンネルを抜けて、踏切で見送る3人の弟たちに向かって労をねぎらうため、懐に入れていた色鮮やかなみかんを投じ、芥川の気持ちが晴れたことを印象的に描いた。
作品では、トンネルや踏切名は特定されていないため、ツアーでは雰囲気などから、作品に登場するトンネルや踏切がどの場所かを推測して巡る。市観光協会は「横須賀のトンネルは日本一とも言われているので、歴史や文学とからめて市の魅力をPRしていきたい」と話している。
定員は先着20人。参加費3000円。6月1日から観光協会のホームページで申し込みを受け付ける。問い合わせは同協会(046・822・8256)。【橋本利昭】