「らんまん」モデル・牧野博士、熊楠と書簡やりとり…「強烈な個性の2人」に多くの共通点も
牧野は高知県出身。経済感覚の疎さや飼い猫が代わっても同じ名前をつけたところなど、熊楠と共通点が多くあった。2人は実際に会うことはなかったが、熊楠が牧野に植物の鑑定を依頼するなど、書簡などでの交流はあった。
特別展では、書簡や植物標本など計65点の資料を通じ、2人の足跡や関係性に迫る。中でも、熊楠が牧野に送った400点以上の植物標本から8点をパネルで紹介。このうち、東京都立大・牧野標本館が所蔵し、熊楠が和歌山で初めて発見したとされる「リュウビンタイ」など7点は、標本の実物を8月に限り展示する。
熊楠の死亡時に牧野が雑誌に寄せた追悼文や熊楠の書簡、メモもある。対面することがなかった点について、牧野は「自分が師匠だから(熊楠が)あいさつに来るのが当然だ」と思っていたことや、熊楠は牧野の田辺滞在時に会おうとしたが、家の事情でかなわなかったことなども分かる。
南方熊楠記念館の学芸員は「植物学の 黎明(れいめい)期に強烈な個性を持った2人が同時に登場した。だからこそ互いに意識し、すれ違ってしまったとも言える。2人の足跡や交流の歴史を知ることで、自然環境への関心を高めてほしい」と話している。
9月10日にはシンポジウムを予定。入館料は高校生以上600円、小・中学生300円。問い合わせは、同館(0739・42・2872)。