志賀直哉の「城の崎にて」を新解釈 英訳と写真でアートブックに
本と温泉は、2013年の志賀直哉来湯100年を機に、若手でつくる「城崎温泉旅館経営研究会」が出版企画のために設けた法人。城崎温泉にちなんだご当地本の出版に取り組み、「注釈・城の崎にて」に始まり、万城目学(まきめまなぶ)さん、湊かなえさん、絵本作家ユニット「ツペラツペラ」と続き、今回の法人設立10周年記念企画のアートブックとは別に、第5弾の計画もある。
川内さんは1972年滋賀県生まれ、千葉県在住。02年に写真界の芥川賞とされる木村伊兵衛写真賞を受賞。光を取り込んだ淡い色調表現で、自然や日常の風景から生命の神秘、はかなさ、力強さを表現した作品で国内外から高く評価されている。英文へ翻訳するテッド・グーセンさんはカナダの日本文学研究者。志賀直哉、村上春樹の作品などを翻訳しているという。
川内さんは城崎温泉について「古き良き時代の面影が残っていて、人が作り上げていく新しさと共存している感じがすごくいい」と語る。編集の際には「自分の目線、直哉の見方、今の城崎といった組み写真も考えられる。どう表現できるのか、楽しみにしている」と話した。
本と温泉の冨田健太郎理事長(40)は「そぞろ歩きのお供にしていただき、城崎温泉の本質的な価値を日本文化に関心の高い海外の方々にも伝えたい。新たなチャレンジになる」と話した。出版は24年1、2月ごろの予定という。