受験最前線 目先の成績よりまず基礎固め 河合塾人気講師に聞く勉強法
――大学入試に向けての心構えとは
上高原 偏差値やネームバリューで大学を選ぶのではなく、何がやりたいのかを考えて志望校をイメージすることが大切です。そういった強い気持ちがあれば苦しいときでもがんばることができますが、誰かに言われて勉強していると途中で心が折れてしまうかもしれません。
とはいえ、「今は特にない」という生徒もいるでしょうから、無理に見つける必要はありません。ただ、やりたいことに出会ったとき力を発揮できるよう、自分の可能性を広げるために勉強するということを理解してほしいと思います。
――今の時期、どう勉強すればよいか
上高原 それは生徒によって異なります。あるテストで70点だったとして、難しい問題が解けなかったのか、きちんと基礎ができていないのかなど、点数だけでは分かりません。どこでつまずいているのかによって、やるべきことも違います。ですから、私は生徒たちに、まず答案を持って相談に来てほしいと伝えています。
数学でよく見かけるのは、ある問題を解いて正答だったら分かったつもりになって次に進むという生徒です。しかし、暗記した公式をあてはめて問題を解く勉強を繰り返しても、いわゆる典型問題を解けるようにはなりますが、見たことのない問題で立ち往生することになります。重要なのは、なぜその答えに至るのかという理由です。ただ、それを考えるにはしっかりとした土台が必要で、それは実は教科書に書いてあるような内容だったりするのです。
――参考書や問題集などの使い方は
上高原 3段階のステップがあります。先に述べたように、まず教科書、あるいは予備校のテキストです。ここで基礎を完璧にしなければなりません。
次に、いわゆる典型問題の解き方を参考書や問題集を使って頭に入れてください。やはり実際の入試では典型問題がよく出題されますから、解けるようになっておく必要があります。それらは解き方が決まっているので、なるべく短い時間で正答できるように練習しておきましょう。地方の国公立大などは、ここまでの勉強でおおむね合格レベルに到達します。
最後の段階は、受験生によって異なります。東京大や京都大といった最難関の場合、典型問題はできて当たり前ですから、見たことのない問題が勝負です。思考力を磨く問題集を使ったり、過去問などで実戦演習を徹底するなど、ここはケースバイケースでしょう。
基礎固めができていない段階で、難しい問題集に取り組んでも効果は期待できません。それぞれのステップで具体的にどんな参考書や問題集が適切なのかは個別に相談してもらえればと思います。
――どのように計画を立てればよいか
上高原 自分の目指すゴールと現在の実力から逆算すれば、おのずから行程表が見えてくるでしょう。現役生の場合、やることが多く、ただレールの上を走るだけになるかもしれません。逆に浪人生のほうが何をするべきかと悩んでいる声も聞きます。いずれにせよ、いくら焦っても特効薬はないので、地道に一歩ずつ進むしかありません。
高校1、2年生は早めの準備が大事です。河合塾では夏期限定ですが、テーマごとに1講座500円で受講できるダイジェスト講座も開講しています。活用してください。
――受験勉強で気をつけることは
上高原 インターネットには「こうすれば必ず合格できる」といった安直な必勝法などもありますが、そんな簡単な道はありません。誰でも苦しいことから逃れたいので、鵜呑みにしてしまう生徒もいるようです。もちろん参考になる情報もありますが、問題の解説などで明らかに誤っているケースも散見されますので、見極められるプロを頼ってください。最近はさまざまな情報があふれすぎていますから、振り回されないでほしいと思います。
■プロフィール
上高原亮(かみたかはら・りょう)
河合塾数学科講師。高卒生・高校生対象コースで阪大・神大層を中心に、東大・京大・医学部レベルからスタンダードレベル講座まで幅広く担当。数学の面白さや奥深さを伝える指導に定評があり、一人一人への熱心な指導で多くの生徒の人気を集める。