マンガ史に残る『SLUM DUNK』の「最後の12秒」…誰もが息を呑んだ「圧巻の46ページ」とは
1億2000万部という累計発行部数は『ONE PIECE』(尾田栄一郎)や『名探偵コナン』(青山剛昌)に及ばないが、特筆すべきは息の長いロングセラーとなっていることだろう。
連載終了から10年が経った’06年に行われた文化庁のアンケート企画「日本のメディア芸術100選」でマンガ部門第1位に輝き、25年が過ぎた’21年1月にテレビ朝日で放送された『国民15万人がガチで投票! 漫画総選挙』では現役の『ONE PIECE』と『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)に続いて第3位にランクイン。時が経ってもまったく風化しない根強い人気を見せつけた。それを思えば、今回のアニメ映画の大ヒットも当然といえるかもしれない。
高校時代にバスケ部のキャプテンだった井上雄彦は「とにかくバスケマンガを描きたい」と思ってマンガ家になったという。手塚賞に入選したデビュー作『楓パープル』は流川楓を主人公にした高校バスケマンガ。「バスケはウケないから」と渋る編集部に対し、当初は学園マンガやヤンキーマンガの色を強く出して『SLAM DUNK』を始めている。
もともと上手かった絵が、連載中にどんどん進化していった。絵の上手いマンガ家はいくらでもいるが、”動く人間“を描かせたら井上が史上ナンバーワンではないだろうか。複雑でめまぐるしいバスケの動きを鮮やかに再現する。
その画力が最大限に発揮されたのが最後の試合となったインターハイ2回戦、今回の映画でも描かれた山王工業戦だ。