教員採用試験を全国共通化、文科省が検討へ 複数回実施や前倒しも
1次選考の全国共通化は、都道府県・政令市の教育委員会の試験問題作成の負担を減らす目的で検討。教委側は、面接など人物重視の選考となる2次選考に注力して優秀な人材を獲得できるようにする。
現在の採用の流れは4~5月に出願、7月に1次選考(筆記試験)、8月に2次選考(面接・実技試験)を行い、9~10月に合格発表となる。これに対し、大手企業の多くは6月までに内々定を出している。
6年度実施の選考では、1次選考を現在よりも前倒しし、6月16日を目安にできるだけ試験を早めることとし、それ以前の実施も可能とした。早期化に伴って生じる試験問題の作成など教委側の負担を軽減するため、文科省が小学校教員向けの試験問題を教委側に提供する考えも打ち出した。
採用選考の複数回実施は、夏の選考で人材を十分に確保できなかった場合、秋や冬に2回目の選考を行うというもの。すでに一部の自治体が導入している。文科省は今年度実施の選考から、地域の状況に応じて秋や冬の実施も積極的に検討するよう要請した。
一方、採用日程を早期化すれば、大学3~4年時に行われることが多い教育実習との調整も課題となるため、大学1~2年でも実習を経験できるようにすることなどを想定している。
文科省によると、3年度実施の採用選考では、公立小学校の試験の競争率は全国平均で2・5倍と過去最低を記録。中高校などを含めた全体でも3・7倍と過去最低となった。