稲葉陽八段・羽生善治九段に注目…藤井聡太竜王が27日開幕の竜王戦本戦展望
――本戦の展望を。
藤井 まずは永瀬王座と豊島九段の対戦に目がいきますね。初戦で当たるのがもったいないカードです。やはり、ここで勝たれた方がトーナメント全体でも上位に進む可能性が高いのかなと予想します。あとは、2期連続出場となる伊藤六段がどこまで勝ち上がるか。前期は3回戦で1組5位の稲葉八段に敗れました。いわゆる「1組の壁」を突破できるかが注目だと思います。
――その稲葉八段が1組優勝を果たし、1勝で挑戦者決定三番勝負に進出する「スーパーシード」につけました。
藤井 稲葉八段は鋭い攻めと腰の重い受けを両方備えているのが特徴かと思います。1組決勝は相掛かりから激しい展開になり、局面のポイントをどこに見いだすのか非常に難しい将棋でした。最後は稲葉八段が自玉の安全度を見切って、うまく抜け出されました。
――本命、対抗は。
藤井 今期、難しいですよね。誰の名前を挙げても怒られてしまいそう。左の山は個性の強い方がそろったという印象です。稲葉八段が有利なのはもちろんですけど、前期挑戦者の広瀬八段もかなり本命に近いかなと。対して、若手がどのぐらい通用するかが左の山の見所ではないでしょうか。
――右の山はいかがですか。
藤井 これは、なんと言えばいいのか……。まずは1組2位の羽生九段が準々決勝からのスタートです。最近の将棋を見ていると非常に充実している印象があるので、このトーナメントでは本命と言っていいでしょう。もちろん、永瀬王座と豊島九段も本命と言っていいと思いますが、初戦でぶつかってしまう。激しい戦いになるはずです。
――七番勝負で戦いたい相手はいますか。
藤井 そう言われると難しいですが、あえて選ぶなら伊藤六段でしょうか。自分と同世代ですが、棋風的にはかなり違う将棋を指されるので、長い持ち時間で対局したらどうなるか楽しみです。あとは会長を退任された佐藤九段にも、かなり注目しています。きっと、ものすごい気合で本戦に臨まれるでしょうから。