作家・吉村昭の書斎など遺族が寄贈 23年度公開予定 東京・三鷹
吉村は、1969年から市内に住み始め、「昭和の脱獄王」と呼ばれた実在の人物をモデルに描いた「破獄」や、「戦艦武蔵」など数多くの記録文学や歴史小説を世に送り出した。
今回遺族から寄贈を受けたのは、4畳半の和室を含む約35平方メートルの木造平屋建ての書斎▽「破獄」の自筆原稿▽執筆の際に使っていた椅子などの遺愛品23点▽書籍1121点――など。市によると、書斎は78年に自宅の離れに作られ、本人の随筆の中でも、心を落ち着かせられる執筆に欠かせない場所として記されているという。
23年度中に書斎は吉村宅から約1キロ離れた駐輪場跡地(同市井の頭3)に移設され、今回の寄贈品を展示する「展示・交流棟」も新設する。記念施設の開館に向け、市はふるさと納税制度を利用し寄付を募っており、目標額は300万円。完成後の施設内に、名前を銘板にして掲示する権利などの返礼品がある。
市芸術文化課の担当者は「吉村氏の作家活動の痕跡をたどることができる貴重な品々を寄贈していただき、心から感謝している」と語り、「多数の作品が創造された作家の『頭脳』と呼べる書斎の移設整備にご支援をお願いしたい」と話した。
寄付は、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」の専用ページ(https://www.furusato-tax.jp/gcf/1930)で。問い合わせは同課(0422・29・9861)。