片岡球子の「面構(つらがまえ)」シリーズが勢ぞろい。片岡球子展がそごう美術館で開催へ
片岡球子は、神奈川県横浜市の大岡尋常高等小学校(現横浜市立大岡小学校)に勤めながら創作活動を行い、日本美術院の再興第17回院展に25歳で初入選。その後日本画家としての地位を確立していった。1955年に小学校を退職すると、母校である女子美術大学日本画科にて教鞭をとり、66年の愛知県立芸術大学開校を機に同校の日本画科主任教授となった。1989年には文化勲章を受章。
本展は片岡の代表作であり、ライフワークでもあった「面構」シリーズのみで構成された初の展覧会。1966年より始まったこのシリーズは、将軍・足利尊氏や浮世絵師・葛飾北斎など、多くの歴史上の人物を片岡独自の解釈で表現したもので、2004年までの38年間で44点が描かれた。
片岡は生前、このシリーズについて「面構は顔だけを描いているだけではなく、その人間が現代に生きていたらどんな風に役立つかなどと、思いながら描いています」と語っており、人間の「魂」を描きたいと考えた片岡が取り組み続けた作品でもある。
本展ではこのシリーズ42点に加え、シリーズ出発点となった作品や初公開の小下図などもあわせて展覧。本画と小下図を見比べることで片岡の制作の軌跡をたどることもできるという。片岡が綿密に取材・推敲を重ね、確信をもって描いたこれらの人物像を、ぜひ現地で鑑賞してほしい。