中村好文の“自薦“家具が揃う『好文堂』。鎌倉山のYAECA〈ink gallery〉で開催。
日本のモダニズムを代表する建築家のひとり、吉村順三が設計した「鎌倉山の家(1974年竣工)」が改修によって再生されたのは2019年のこと。アパレルブランド〈YAECA〉が運営する〈ink gallery〉として、年に数回、不定期で、家具や工芸の展覧会が開催されてきた。
その〈ink gallery〉にて、11月26日から12月4日までの9日間、建築家・中村好文の展覧会『好文堂』が開催される。実は、「鎌倉山の家」のリノベーションを手がけたのも中村で、設計をはじめてから40年あまり、中村が情熱を注ぎ続けてきた「良質な住空間」と「使い勝手のいい家具や小物」、その両方を同時に見られる、またとない機会だ。
展覧会にあたり、「これまでにデザインしてきた家具小物の中から自分でも気に入っている、いわば自薦の数々を展示してご覧いただくことになりました」と中村。ペーパーコードのカウンターチェア《KITCHEN STOOL》や背もたれと肘掛が一体となった《THUMB CHAIR》など、どれも中村が住宅設計と同時に手がけてきた名作だ。子ども用の《PUZZLE TABLE》も展示・販売される。
今回の『好文堂』では、新作のイージチェア《PECORA》もお披露目される。
《PECORA》は、山形に本社のある「オリエンタルカーペット」とのコラボレーションで、座面と背面に手織りのウールカーペットが張られる。「オリエンタルカーペット」の創業は1935年。糸づくりから仕上げまでを一貫して行う最高品質のものづくりを貫き、同社のホームユース向けブランド〈山形緞通〉は、剣持勇やシャルロット・ペリアンとの協働でも知られる。家具は「建築と人」をつなぐ重要な接点。オーガニックなフォルムに手織りならではの滑らかさをまとった《PECORA》。その誕生に期待が高まる。
「この新作椅子をぜひともお披露目したいものだと鋭意奮闘中です。
皆さまと会場でお目にかかれるのを楽しみにしています」(中村好文)
〈ink gallery〉神奈川県鎌倉市鎌倉山1丁目19-12。鎌倉駅からバス(鎌4 鎌倉山行/鎌5 諏訪ヶ谷行/鎌6 江ノ島行)で若松下車、徒歩5分。2022年11月26日~12月4日。11時~18時(最終入場は閉館の30分前まで)。期間中無休。入場無料。※会場には駐車場がないため「お車でのご来場はご遠慮ください」とのこと。