静岡市歴史博物館からポーラ美術館のピカソ展まで。今週末見たい展覧会ベスト6
徳川家康が1585年に築城した駿府城。その遺構として知られる静岡市の名所・駿府城公園からほど近い場所で1月13日、静岡市歴史博物館がグランドオープンを迎えた。
「静岡の過去を学び、今を知る。そして、未来を考える。」をコンセプトに掲げる同館の建築設計は世界的な建築家ユニット・SANAAが担当。1階では発掘調査で発見された戦国時代の道と石垣の遺構が露出展示されており、文字通り歴史に触れることができる。また2~3階の展示室では、家康や今川義元に関連する作品・資料を多数展示。開館記念展の「徳川家康と駿府」(1月13日~2月26日)は、家康が多くの寺社、あるいは郊外の集落にまで遺した様々な記憶・軌跡を、静岡一円に現存する家康ゆかりの資料から読み解くものとなっている。
会期:2023年1月13日~2月26日
会場:静岡市歴史博物館
住所:静岡県静岡市葵区追手町4-16
電話番号:054-204-1005
開館時間:9:00~18:00
休館日:月(祝日の場合は開館し、翌平日)、年末年始
料金:一般 1000円 / 高校・大学生・市内70歳以上 700円 / 小・中学生 250円
謎に包まれた洋画家。「没後200年 亜欧堂田善 江戸の洋風画家・創造の軌跡」(千葉市美術館)
現在の福島県須賀川市に生まれ、47歳の時に白河藩主・松平定信の命を受けて、腐食銅版画技法を習得した画人・亜欧堂田善(あおうどう・でんぜん、1748~1822)。その首都圏では17年ぶりとなる回顧展が1月13日に開幕した。
主君の庇護のもとで試行錯誤を重ねた田善は、日本初の銅版画による解剖図『医範提鋼内象銅版図』や、幕府が初めて公刊した世界地図『新訂万国全図』など、大きな仕事を次々に手がけるいっぽう、西洋版画の図様を両国の花火に取り入れた《二州橋夏夜図》や、《浅間山図屏風》(重要文化財)に代表される肉筆の油彩画にも意欲的に取り組み、傑作を多く世に送り出した。本展では、その肉筆の洋風画の代表作をはじめ、谷文晁・司馬江漢・鍬形蕙斎といった同時代絵師の作品、田善の参照した西洋版画や弟子の作品も交え、約250点によって、その画業を再検証する。
会期:2023年1月13日~2月26日
会場:千葉市美術館
住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8
電話番号:043-221-2311
開館時間10:00~18:00(金土~20:00)※入場受付は閉館30分前まで
休館日:1月30日、2月6日
料金:一般 1200円 / 大学生 700円 / 小中高生無料
注目の陶芸家。「中井波花『浮かぶ』」(TARO NASU)
六本木のTARO NASUで、陶芸家・中井波花の個展「浮かぶ」が1月13日から始まる。
1993年北海道生まれの中井は、2019年に多治見市陶磁器意匠研究所を卒業。22年には金沢卯辰山工芸工房を修了し、現在も金沢で制作を行っている。「第5回金沢・世界工芸トリエンナーレ
工芸が想像するもの」「第78回金沢市工芸展」(2022)、「第9回菊池ビエンナーレ」「笠間陶芸大賞展」(2021)などに参加し、意欲的な活動を見せる中井。本展では新たな試みとして、釉薬の化学変化による色彩を取り込んだ新作を展示する。
会期:2023年1月13日~2月10日
会場:TARO NASU
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル4F
電話番号:03-5786-6900
開館時間11:00~19:00
休館日:日、月、祝
料金:無料
「青の時代」からピカソの画業をとらえなおす大規模展。「ピカソ 青の時代を超えて」(ポーラ美術館)
ポーラ美術館の開館20周年記念展である「ピカソ 青の時代を超て」が1月15日で閉幕。ひろしま美術館に巡回する(2月4日~5月28日)。
「青の時代」とはピカソが20歳から23歳の頃、青を主調色に貧しい人々の姿を描き、生と死や貧困のテーマの深奥に踏み込んだ時代のことを指す。本展は、欧米の美術館の協力を得て深めてきた作品研究をもとにピカソの制作のプロセスに焦点を当て、絵画芸術に挑んだその作品を初期からとらえ直す試みだ。「青の時代」を原点とし、実験的なキュビスムの探究、さらに円熟期から晩年に至るまで、91年の生涯を通して旺盛な制作意欲を絶やすことのなかったピカソの人生を振り返る、絶好の機会となっている。
会期:2022年9月17日~2023年1月15日
会場:ポーラ美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話番号:0460-84-2111
開館時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1800円 / 65歳以上 1600円 / 大学・高校生 1300円 / 中学生以下無料
オブジェからマン・レイの人生を振り返る。「マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち」(DIC川村記念美術館)
マン・レイ
(1890~1976)の制作活動のなかでも「我が愛しのオブジェ」と呼ばれたオブジェ作品に注目し、その芸術家人生を振り返る展覧会「マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち」が1月15日に閉幕する。
本展は、マン・レイ作品のなかでもオブジェ作品に特化した国内初の展覧会だ。全3章に3つのトピックスを加え、代表作である《破壊されざるオブジェ》《贈り物》《ニューヨーク
17》などを含む、国内所蔵のオブジェ約50点を軸として、関連する作品や資料をあわせた約150点が並ぶ。同じモチーフ同士、写真とオブジェ、絵画とオブジェなどを比較して鑑賞したい。
会期:2022年10月8日~2023年1月15日
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:00 ※入場は16:30まで
休館日:月
料金:一般 1500円 / 学生・65歳以上 1300円 / 小中学生・高校生 600円
ボタニカル・アートの世界にようこそ。「おいしいボタニカル・アートー食を彩る植物のものがたり」(SOMPO美術館)
野菜や果物をはじめ、コーヒー、茶、カカオ、ハーブ、スパイスなど、食用となる植物を描いた「ボタニカル・アート(植物画)」。これにフォーカスした展覧会が1月15日まで開催中だ。
ボタニカル・アート(Botanical Art)とは、薬草学や植物学など科学的研究を目的として、
草花を正確かつ緻密に描いた「植物画」のことを指す。17世紀の大航海時代には珍しい植物を追い求めたプラント・ハンターたちの周辺で多くのボタニカル・アートが描かれ、専門の画家も活躍し急速に発展。18世紀以降は科学的な目的に加え、芸術性の高い作品も描かれるようになった。本展では、イギリスのキュー王立植物園協力のもと、ボタニカル・アートの版画に加え、古いレシピや食卓を飾るティー・セット、グラス、カトラリーなど、食にまつわる資料類も並ぶ。
会期:2022年11月5日~2023年1月15日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00
休館日:月
料金:一般 1600円 / 大学生 1100円 / 高校生以下 無料